2型糖尿病患者の女性が低用量アスピリンを長期間服用すると認知症発症リスクが低下することを示唆する研究結果が、Diabetes Careで報告されました。

JPAD研究に参加し、本研究に同意した日本人2型糖尿病患者2,536人を対象に、ランダムに「低用量アスピリン」を服用するグループ1,259人と「低用量アスピリン」を服用しないグループ1,277人に分けて2002年~2017年の約15年間で認知症発症の有無について追跡を行いました。

対象者2,536人のうち、128人が認知症を発症しました。発症率について、男女差について分析を進めたところ、低用量アスピリン(81-100mg/日)の服用の有無で男性患者の認知症発症のリスクに差は見られませんでしたが、低用量アスピリンを服用し続けた女性患者については、認知症発症のリスクが42%低下したことが明らかになりました。兵庫医科大学によると「本研究では、女性にのみ効果が認められましたが、今後研究を進めて、低用量アスピリンの認知症予防効果を解明していくことで、将来的に低用量アスピリンが認知症予防薬として活用されることが期待されます。」と発表されています。

糖尿病患者を対象にした低用量アスピリンの認知症予防に関する臨床試験は初めてであり、日本の研究報告であることから話題となりやすいのではないでしょうか。

他の話題としてザファテック®錠 25mgの発売が武田薬品より発表されました。ザファテック®錠50mg、同錠100mgは、2015年3月に週一回投与の経口2型糖尿病治療剤として医薬品製造販売承認を取得しましたが、初回承認取得時、高度腎機能障害又は透析中の末期腎不全患者さんへの投与は禁忌でした。しかしながら、2型糖尿病患者さんでは腎機能障害を合併する患者さんが多いことから、個々の病態にあった糖尿病治療に貢献するべく、ザファテック25㎎を新たな剤形として発売したと発表されています。

Matsumoto C, Ogawa H, Saito Y, et al. Sex Difference in Effects of Low-Dose Aspirin on Prevention of Dementia in Patients With Type 2 Diabetes: A Long-term Follow-up Study of a Randomized Clinical Trial [published online ahead of print, 2019 Dec 4]. Diabetes Care. 2019;dc191188. doi:10.2337/dc19-1188