駆出率が低下した心不全患者にダパグリフロジンを投与する事で、心不全の悪化または心血管系の原因による死亡のリスクが低かった事を示唆する研究結果が、The New England Journal of Medicineで報告されました。

本研究は、NYHA分類II~IV度の心不全を有し、駆出率が 40%以下の患者4,744 例を対象に、心不全の標準治療にダパグリフロジン(1日1回10mg)を上乗せする群とプラセボを投与する群に無作為に割り付けを行いました。主要評価項目は、心不全の悪化による入院または予定外の受診、心血管系の原因による死亡の複合としています。

試験の結果、主要評価項目である心不全の悪化による入院または予定外の受診と心血管死の複合は、ダパグリフロジン群で16.3%、プラセボ群で21.2%であり、ダパグリフロジン群で有意に低い事が確認されました(ハザード比:0.74、95%CI:0.65~0.85)。また心不全の悪化による入院または予定外の受診は、ダパグリフロジン群で10.0%、プラセボ群で13.7%であり(ハザード比:0.70、95%CI:0.59~0.83)、心血管系の原因による死亡はダパグリフロジン群で9.6%、プラセボ群の11.5%でありました(ハザード比:0.82、95%CI:0.69~0.98)。安全性に関しては、体液量減少、腎機能障害、低血糖に関連する有害事象の頻度において、有意な差は認められませんでした。

SGLT2阻害剤における心臓への影響について、エンパグリフロジンに続き、新たにダパグリフロジンにおいての研究結果が報告されました。SGLT2阻害剤が心臓に対して何らかの効果があるという事をより支持する結果となりましたが、あくまで適応外の効果である事にご注意ください。