アストラゼネカは、インスリン治療中の1型糖尿病患者にダパグリフロジンを24週間投与したDEPICT-1試験の結果を第53回欧州糖尿病学会(EASD)年次総会で発表しました。また本結果は同時にThe Lancet Diabetes and Endocrinologyに論文発表されています。

DEPICT-1試験は、血糖コントロールが不十分な1型糖尿病患者を対象に、ダパグリフロジン5mgと10mgを用量調整可能なインスリン療法に24週間追加投与したところ、HbA1c値、体重、インスリンの1日総投与量をいずれの用量においてもプラセボに比べて有意に低下した事が報告されました。また持続的血糖測定(CGM)では、ダパグリフロジン投与群(5mg、10mg)では、平均血糖値、血糖変動(平均血糖変動幅により評価)が減少し、目標血糖値(70-180mg/dL)を達成した時間の割合が増加、また目標血糖値を達成した時間が1日あたり5mgでは2時間以上、10mg群では2.5時間以上長くなりました。

安全性に関しては低血糖と重症低血糖の発現は、プラセボ群と比べて増加は認められず、糖尿病性ケトアシドーシスの発現は5mg群では4例(1%)、10mg群で10例(2%)、プラセボ群で3例(1%)で発現増加に関連は認められませんでした。

本試験では、インスリン療法中の1型糖尿病患者の追加治療として血糖コントロールを有意に改善させる有効な選択肢であることが示唆されました。それに伴いダパグリフロジンの添付文書内にあった「本剤とインスリン製剤との併用における有効性及び安全性は検討されていない。」という記載が削除されましたが、ダパグリフロジンを含むSGLT2阻害剤は、国内外で1型糖尿病の適応では承認されておりませんので適応外使用を推奨しないようにご注意ください。

Efficacy and safety of dapagliflozin in patients with inadequately controlled type 1 diabetes (DEPICT-1): 24 week results from a multicentre, double-blind, phase 3, randomised controlled trial