SGLT2阻害薬により2型糖尿病患者の内皮機能障害を急激に改善し、動脈壁硬化と腎抵抗性の指標を減少させることを示唆するパイロット研究が、10月23日に発刊されたCardiovascular Diabetology誌で報告されました。

本報告では、16人の2型糖尿病患者において、ダパグリフロジン10mg 1日1回を2日間投与し、投与前後の指標をヒドロクロロチアジド12.5mg(利尿薬)1日1回で治療した10人の患者で得られたデータと比較しました。

ダパグリフロジンは同程度のヒドロクロロチアジドに対して、収縮期血圧を低下させ24時間の利尿を増加させ、 24時間尿中グルコースおよび血清マグネシウムも増加させました。一方で、 24時間尿中ナトリウムおよび空腹時血糖は変化が認められませんでしたが、酸化ストレスのマーカーである尿中のイソプロスタンの減少により、酸化ストレスの減少が認められています。

これにより本報告内ではダパグリフロジンによる急性治療は、全身および腎臓の血管系に直接的かつ有益な効果を有すると結論付けられています。またこの多面的効果は、血圧や血糖の変化とは無関係であり、クラスエフェクトである心血管保護のメカニズムが作用している可能性があるとされ、酸化ストレス軽減による効果の可能性が示唆されています。

Dapagliflozin acutely improves endothelial dysfunction, reduces aortic stiffness and renal resistive index in type 2 diabetic patients: a pilot study