急性膵炎の発症リスクはGLP-1受容体作動薬では増加しないのに対し、DPP-4阻害薬では増加を示唆する研究結果が、Journal Expert Review of Clinical Pharmacologyで報告されました。

各種データベース(PubMed, Embase, Cochrane Library databases)を検索し、インクレチン関連薬(DPP-4阻害薬,GLP-1受容体作動薬)が12カ月以上投与された心血管アウトカム試験のメタ解析を行い、急性膵炎の発症リスクに関して検証を行いました。

解析の結果、プラセボと比較したGLP-1受容体作動薬が投与された7つのメタ解析(n=55,932)では急性膵炎の発症リスクは増加しなかった(OR比1.05、95%CI[0.77–1.42]、p=0.77))のに対し、DPP-4阻害薬をプラセボと比較した6つの試験(n=47,714)とアクティブコンパレータ(実薬)と比較した6つの試験(n=53,747)とのメタ解析では、有意に増加していた(OR比1.81、95%CI[1.21–2.70]、p=0.04およびOR比1.54、95%CI[1.08–2.18]、p=0.02))ことが確認されました。

インクレチン関連薬と急性膵炎の発症について、GLP-1受容体作動薬とDPP-4阻害薬で異なる結果となりました。急性膵炎の発症頻度は決して高くはない有害事象にはなりますが、万が一起きた場合の対応も含めて情報提供を行ってみて下さい。

Expert Rev Clin Pharmacol. 2020 Mar 4:1-8. doi:10.1080/17512433.2020.1736041.