冠動脈疾患を合併する2型糖尿病患者さんにおけるエンパグリフロジンによる治療が、左室心筋重量を有意に減少させ、EMPA-REG OUTCOMEで観察された心血管アウトカム改善の理由の一つであることを示唆する研究結果が、Circulationで報告されました。

本研究では、2016年11月から2018年4月の間にリクルートされた、HbA1cが6.5%から10.0%、既知の冠動脈疾患、eGFRが60mL/min/1.73m2以上である40歳以上80歳以下の97名の患者さんが対象とされました。参加者は6ヶ月間、標準治療に加えてエンパグリフロジン10mg/日(n=49)またはプラセボ(n=48)に無作為に割り付けられました。

体表面積により係数化した6ヶ月後の平均左室心筋重量の減少は、エンパグリフロジン群で2.6g/m2、プラセボ群で0.01g/m2という結果でした。エンパグリフロジンが割り当てられたグループでは、外来における収縮期血圧と拡張期血圧の有意な低下およびヘマトクリット値の上昇がみられました。

SGLT2阻害剤において重要な研究の一つに位置づけられるEMPA-REG OUTCOMEの結果について検証を重ねた研究報告です。プロモーションには使用できない内容ですが、なぜSGLT2阻害剤が心血管アウトカムの改善をし得るのかについて、このように研究がなされており結果が出つつあることをご認識頂く一助になれば幸いです。

Verma S, et al. Circulation 2019.