糖尿病および糖尿病の前段階、糖尿病に関連するバイオマーカーが認知機能低下を予測し、血糖降下薬により認知症リスクを低減することを示唆する研究結果が、Ageing Research Reviewsで報告されました。

2019年6月までのPubMedを検索して、関連する前向き研究の28,082文献のうち、144文献がシステマティックレビュー、122文献がメタ解析の対象となりました。

糖尿病は、認知障害(認知機能障害および認知症)リスクを1.25〜1.91倍として、糖尿病前症の被験者も認知症のリスクが高い結果でした。糖尿病関連のバイオマーカーに関しては、空腹時血糖は認知障害と非線形に関連していました。経口糖負荷試験(OGTT)2 時間値、HbA1c、低および高レベルの空腹時血漿インスリンの上昇は、認知症のリスクの増加と関連していました。一方でピオグリタゾンの使用により、糖尿病患者の認知症のリスクが47%減少しました。

糖尿病が認知症をきたしやすいことは高齢者糖尿病診療ガイドライン2017でも記載がありますが、本報告では糖尿病の前段階、糖尿病のバイオマーカーでさえも認知症のリスクに関連することが明らかになった点が、情報提供のポイントになろうかと考えられます。

また、最近のトピックとしてはルセフィ®錠について、ノバルティスファーマによる販売および情報提供活動が2019年12月末日をもって終了となり、2020年1月から大正製薬が単独で国内における販売および情報提供活動を行うことが10月30日に発表されました。是非ご確認ください。 

Ageing Res Rev. 2019 Nov;55:100944. doi: 10.1016/j.arr.2019.100944.