2型糖尿病の発症リスクについて様々な研究結果が報告されております。健康的なライフスタイルがどれだけ2型糖尿病の発症リスクを低下させるか、また身長と2型糖尿病の発症リスクとの関連を見た論文を取り上げております。その他糖尿病と癌の発症を防ぐ事が期待できる新たな遺伝子が国内において発見された記事を取り上げておりますのでご紹介します。

身長と2型糖尿病の発生リスクとの関連 (9月9日)

身長が低い人ほど2型糖尿病を発症するリスクが高いとする研究結果が発表され、記事がDiabetologiaに発表された。

研究によると、身長の高さと2型糖尿病の発症リスクには逆相関の関係が示され、身長が10cm高くなるごとに糖尿病の発症リスクは男性で41%、女性で33%低下している事が確認された。また、足の長さとの関連性についてもみられており、男女共に足が長いほど糖尿病の発症リスクの低下を示していたが、男性では足が短いほど糖尿病の発症リスクが高い事が示され、性差がある事が確認された。

健康的なライフスタイルと2型糖尿病の発症リスク (9月4日)

中国の華中科技大学は、健康的な生活が2型糖尿病の発症リスクを75%減少し、2型糖尿病を有する患者においては全死亡リスクを56%減少させる事を発表し、記事がDiabetologiaに掲載された。

本研究は、米国、アジア、欧州、オセアニアで実施された糖尿病と診断されていない男女111万6,248人(平均年齢38~73歳)を対象とした14件のコホート研究(平均追跡期間2.7~20.8年)を解析し、健康的な生活による2型糖尿病の発症リスクの影響を検討した。また、既に2型糖尿病を有している患者34,385人(平均年齢46~69歳)を対象とした10件のコホート研究の解析(平均追跡期間4~21年)で、全死亡リスク、CVDの死亡リスク、癌の死亡リスク、CVDを発症するリスクの検討を行った。健康的な生活の指標には、喫煙、飲酒、身体活動、座りがちな生活、食事、過体重・肥満、睡眠の時間や質など、生活スタイルの要点を3項目以上組み合わせて、糖尿病リスクの算出を行った。その結果、健康的な生活スタイルを組み合わせて実行している人では、もっとも不健康な人に比べ、2型糖尿病の発症リスクが75%減少することが確認された。また2型糖尿病のコントロールにおいて、生活スタイルがもっとも健康的と評価された2型糖尿病患者は、もっとも不健康と評価された患者に比べ、全死亡リスクが56%、CVDの死亡リスクが49%、癌の死亡リスクが31%、CVDを発症するリスクが52%低い事が確認された。

糖尿病と癌の発症を防ぐ新しい長寿遺伝子を発見 (9月3日)

吉備国際大学の研究グループは、糖尿病と癌の発症を防ぐ新しい長寿遺伝子を発見した事を発表し、記事がScientific Reportsに掲載された。

インスリン代謝に働く遺伝子の1つであるp85β遺伝子に突然変異が起きて出現した変異p85β遺伝子を、マウスに組み込んだところ、通常のマウスよりも約20%長い日数生きたことが確認された。また変異p85β遺伝子の役割をラットの細胞を用いて評価したところ、細胞の老化に繋がる活性酸素に対する抵抗力の増大、インスリン分泌を促進させて糖尿病の発症の予防、また癌細胞増殖の抑制を示した事が確認された。