糖尿病の診断治療に関する領域は、最新技術により新たなアプローチや新発見が進んでいます。今回は糖尿病発症やその他疾患を抑制し得るワクチン開発や、サプリメントにもなっている必須脂肪酸の影響、AIを活用した研究について紹介しています。糖尿病に関するディスカッションを行う際の話題としてご活用ください。

糖尿病発症を抑制し得る新規粘膜ワクチンを開発 (8月23日)

全身の粘膜において致死的な感染症だけでなく、疾患特異的な腸内細菌の制御へ応用できる新規粘膜ワクチンを開発したことを、大阪市立大学が発表した。発表によると、ワクチンにより生活習慣病の代表である肥満や糖尿病の原因となる病原常在腸内細菌を制御することで、発症を抑制できることが明らかとなった。

オメガ3など不飽和脂肪酸の糖尿病診断治療に対する影響 (8月21日)

オメガ3、オメガ6または総PUFA(多価不飽和脂肪酸)の増加が、2型糖尿病の予防と治療に対して、効果が少ないか全く無いことを明らかにした試験がBMJで発表された。

WHO国際臨床試験登録プラットフォームなどのデータベースや関連するシステマティックレビューの研究を検索し、α-リノレン酸、長鎖オメガ3、オメガ6、総PUFAの増加による効果を評価した24週以上の無作為化比較試験を対象として、主に長鎖オメガ3の効果を評価した無作為化比較試験83件がメタ解析された。

糖尿病の診断、空腹時血糖または空腹時インスリン、HbA1c、インスリン抵抗性(HOMA-IR)に関するデータを収集した結果、長鎖オメガ3の摂取量が4.4g/日を超えると負の影響が示唆され、α-リノレン酸の増加が空腹時インスリンを約7%増加させることが示唆された。

AIを活用した糖尿病性腎症重症化予防の共同研究を開始 (8月19日)

金沢大学と東芝は、糖尿病性腎症の重症化メカニズムの解明により精密医療の実現を目指す共同研究を開始したことを発表した。本共同研究では、東芝デジタルソリューションズのアナリティクスAI 「SATLYS™」を活用することで、透析導入および重篤な合併症を引き起こす可能性がある糖尿病性腎症重症化メカニズムを解析し、リスクごとに詳細に層別化・体系化された予防法を開発することで、患者のQOL向上を目指す。