本レポートでは、新たにSGLT2阻害薬の心血管アウトカムデータに対する欧州医薬品評価委員会(CHMP)の見解が発表されたことに加え、新たな化合物クラスである「Glimins」であるImegliminの国内第3相臨床試験の結果や、インスリンとGLP-1受容体作動薬の配合剤の第3相臨床試験を取り上げています。是非、新薬の新たな情報をアップデート頂き、日々の活動にお役立てください。

ダパグリフロジンの心血管アウトカムデータに対する欧州医薬品評価委員会(CHMP)の見解 (7月9日)

アストラゼネカは、欧州医薬品庁の医薬品評価委員会(CHMP)が欧州におけるダパグリフロジンの販売承認内容に対し、第3相DECLARE-TIMI58試験の心血管アウトカムデータの追加を推奨したことを発表した。

DECLARE-TIMI58試験は、SGLT2阻害剤で実施されたこれまでで最大かつ広範な心血管アウトカム試験である。本試験において、ダパグリフロジンは二つの有効性主要評価項目の一つである心不全による入院または心血管死の複合評価項目において、プラセボとの比較で統計学的に有意な低下を示した。一方、もう一つの有効性主要評価項目である主要心血管イベントは、ダパグリフロジン群でより少ない頻度で確認されたが、統計学的な有意差は示さなかった。安全性に関しては、四肢切断、骨折、膀胱がん、フルニエ壊疽の発現は同等であることが示されており、これまでに確立されたダパグリフロジンの安全性プロファイルと同じ結果が確認された。

経口2型糖尿病治療薬のImegliminの国内第3相臨床試験の結果が発表 (6月25日)

大日本住友製薬は、Poxel社と共同で開発中の経口2型糖尿病治療薬であるimegliminについて、第3相臨床試験の一部を構成するTIMES3試験で主要評価項目を達成した事を発表した。

TIMES3試験は、3本の臨床試験から構成されたTIMS試験のうちの1つの臨床試験であり、TIMES試験は1,100人を超える2型糖尿病患者を対象に本剤の有効性および安全性を評価している。TIMES3試験は、215人の日本人のインスリン製剤を投与しても効果不十分な2型糖尿病患者を対象とし、無作為化二重盲検比較試験において、16週間およびその後36週間の非盲検期として現在実施中の継続投与試験であり、インスリン製剤併用下において、本剤1,000mgまたはプラセボを1日2回経口投与する試験デザインとなっている。試験の結果、主要評価項目である投与16週間後のHbA1cのベースラインからの変化量は-0.60%であり、プラセボ投与群に対し、統計学的に有意な改善が示された。本剤は、本試験において総じて良好な忍容性を示し、インスリン製剤併用下において、本剤による低血糖の発現患者数はプラセボ群と同様であり、重度の低血糖は観察されず、低血糖の大部分が軽度であった。有害事象は、本剤の日本での単剤投与試験であるTIMES1試験や他の臨床試験で観察された内容と同様の結果であった。その他の評価項目については、現在解析中で、本試験の詳細データは、Poxel社が今後の学会で発表する予定である。大日本住友製薬は、日本での承認申請を2020年に行うことを目指していると発表している。

基礎インスリンで血糖コントロール不良の2型糖尿病患者を対象としたiGlarLixiの試験結果が発表 (6月20日)

サノフィは、開発中のiGlarLixi(インスリン グラルギン/リキシセナチド配合剤)について基礎インスリンでコントロール不十分な2型糖尿病患者を対象に、インスリングラルギンと比較した第3相臨床試験の結果を発表した。

本試験は、基礎インスリンと経口血糖降下薬の併用療法で血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者を対象に、iGlarLixiの有効性と安全性を評価することを目的とした非盲検ランダム化の多施設共同第3相試験である。試験は512名を対象にインスリン グラルギン(iGlar)と比較し、主要評価項目はベースラインから投与26週後までのHbA1cの変化量としている。結果、HbA1cの変化量はiGlarLixi群は-1.27%、iGlar群は-0.53%であり、両群の群間差は0.74%であり、統計学的に有意な差が認められた。iGlarLixi群においては、HbA1cがベースライン値8.25%から26週後に7.05%へ、iGlar群では、HbA1cがベースライン値8.28%から26週後に7.81%へと低下しました。また、iGlarLixi群の安全性プロファイルは、全般的にiGlarおよびLixiの各配合成分の既知の安全性プロファイルを反映していた。これらの結果により、本剤が基礎インスリンでコントロール不十分な2型糖尿病患者の新たな治療に貢献しうることが示唆された。