糖尿病患者さんの不安と医療費の関係や、心臓発作・歯周病や認知機能悪化のリスクなど、糖尿病は社会的にも患者さん個人にも様々な悪影響を及ぼすことがあります。今回はそのような糖尿病が及ぼす悪影響に関する最新報告をご紹介いたします。

2型糖尿病患者による不安が高額な医療リソース使用と独立して関連 (6月17日)

電子カルテデータを使用して、過去2回の糖尿病を有する143,573名の成人について、過去に不安障害と診断、医療リソースの使用と費用、属性、併存症、および糖尿病管理状況と合併症を評価した報告が、Diabetes Careに掲載された。

その結果、2008年から2011年の間に、参加者の12.9%が不安の診断を受け、そのうち52.9%がうつ病の診断も受けていた。うつ病を含む共変量を調整した後、不安は2012年の救急利用に正の相関(1.27、95%CI 1.21-1.34)があり、2010年から2012年の間に頻繁に救急を利用するリスクにも相関(OR2.55、95%CI 1.90-3.44)があった。

未診断の糖尿病が心臓発作および歯周病のリスクとなる可能性 (6月11日)

過去に見逃されていた高血糖は心筋梗塞と歯周病の独立した因子であり、初回の心筋梗塞および重度歯周病のリスクを2倍にすることを示した大規模な症例対照研究であるPAROKRANK studyの結果が、スウェーデンのKarolinska instituteより発表された。

心筋梗塞の既往がある患者805名とコントロール群805名を比較した結果、耐糖能異常または糖尿病は患者群でより一般的に認められ心筋梗塞との関連があった。さらに重度の歯周病は糖尿病が見逃されていた対照群で頻繁に見られ、反対に見逃されていた糖尿病は重度の歯周病を有する患者で最も頻繁に見られた。

高齢者における血糖コントロール不良と糖尿病罹患期間の認知機能への影響 (5月21日)

糖尿病の状態、糖尿病期間の延長および血糖コントロール不良が、追跡期間5年間(中央値)での認知機能悪化と関連していたことを示す研究報告がDiabetes Care誌に掲載された。 ARIC studyに参加し、自己申告や薬物治療またはHbA1c≧6.5%で定義付けられた糖尿病患者5,099名のバイオマーカーと認知機能の関連について前向き分析を行った結果、糖尿病・血糖コントロール不良・糖尿病期間の延長(5年以上または未満)は認知機能障害と有意に関連していたことが示された。