第79回米国糖尿病学会学術集会が6月7日(金)〜11日(火)にカリフォルニア州サンフランシスコにて開催され、新規インスリンや経口GLP1受容体作動薬の臨床効果の発表といった糖尿病薬に関するトピックが多数報告されています。さらにインスリンとヒトGLP-1アナログの配合剤の製造販売承認取得、メトホルミンの対象患者の拡大、新剤型の発表など新しい情報がありますので、是非ご確認ください。

Ultra Rapid Lisproがインスリン リスプロとの比較において同様のHbA1c低下と優れた食後血糖値の抑制を示す (6月20日)

Ultra Rapid Lisproは1型および2型の糖尿病患者を対象とした2つの第Ⅲ相臨床試験において、ヒューマログ(インスリン リスプロ)に対し、26週時点のHbA1c低下について非劣性を示したことを発表した。

これらの試験はtreat-to-target試験として実施され、URLiがヒューマログと比較して食事負荷試験の食後1時間および2時間の血糖値上昇を有意に抑制することも示した。また、1型糖尿病患者を対象とした試験では、URLiが日中の目標グルコース値範囲内時間を有意に改善したことを示した。URLiは血糖値のより良好なコントロールの実現のために開発されている新規の食事時インスリン製剤であり、URLiに関する本試験および他の試験結果については第79回米国糖尿病学会学術集会にて発表された。

デュラグルチドが幅広い2型糖尿病患者の主要心血管イベントを有意に減少 (6月19日)

デュラグルチドの心血管アウトカム試験であるREWIND試験の詳細な結果から、主要心血管イベント(MACE)の発現率が12%有意に低下したことが示され、心血管疾患の既往の有無に関わらず3ポイントMACEの低下を示し、心血管リスクの低下は試験期間を通じて維持された。イーライリリーは、このデータが第79回米国糖尿病学会学術集会のシンポジウムにて発表され、同時にLancet誌で公開されたことを発表した。

ゾルトファイ配合注フレックスタッチの製造販売承認取得 (6月18日)

ノボノルディスクはゾルトファイ配合注フレックスタッチについて「インスリン療法が適応となる2型糖尿病」を適応として製造販売承認を取得したことを発表した。ゾルトファイ配合注は、持続型溶解インスリンアナログであるインスリン デグルデクと、ヒトGLP-1アナログであるリラグルチドを固定比率で配合した、国内初にして唯一の組み合わせの配合注射液となる。

メトホルミン含有製剤における禁忌「腎機能障害」等に係る「使用上の注意」の改訂について (6月18日)

厚生労働省は、メトホルミン塩酸塩含有製剤17品目について添付文書の「使用上の注意」を改訂するよう製造販売業者に指示した。主な改訂項目として、これまで腎機能障害において「中等度以上」の患者を禁忌としていたがeGFR30未満の患者に改めることや、1日の最高用量もeGFRの数値に基づく目安を明記することが挙げられた。目安は、eGFR30~45mL/min/1.73㎡の患者では750mg、eGFR45~60mL/min/1.73㎡の患者では1500mgとされた。

経口セマグルチドによるPIONEER6試験の主要目的達成 (6月14日)

ノボノルディスクは、PIONEER試験における主要評価項目である心血管系に対する安全性について、経口セマグルチドはプラセボに対しての非劣性が検証されたことが、第79回米国糖尿病学会学術集会のシンポジウムにて発表され、同時にNEJM誌で公開されたことを発表した。

これらの標準治療へ追加したときの主要な心血管イベント(MACE)の結果は、個別アウトカムである心血管死の減少および非致死性脳卒中の減少によるものであり、非致死性心筋梗塞の発現件数についてはプラセボとの間に有意差は認められなかった。さらに副次的評価項目の中では、あらゆる理由による死亡について、経口セマグルチドでプラセボに比較し、有意な現象が認められたことが発表された。

経口セマグルチドのジャディアンスに対する優越性とビクトーザに対する非劣性について (6月14日)

ノボノルディスクは、成人2型糖尿病患者を対象とした52週間にわたる2つの第3a相臨床試験における投与後52週の副次的な評価において、ジャディアンス(PIONEER2試験)とビクトーザ(PIONEER4試験)のいずれに対しても統計的に有意な血糖値の低下と体重減少を示したことを発表した。

PIONEER2試験では、主要評価項目である投与後26週のHbA1cの低下に関し、経口セマグルチド14mgはエンパグリフロジン25mgに対する優越性を示した。またPIONEER4試験では、メトホルミン単独またはメトホルミンとSGLT2阻害薬の併用で十分な血糖コントロールが得られていない成人2型糖尿病患者において、主要評価項目である投与後26週のHbA1cの変化量に関し、経口セマグルチド14mgはビクトーザに対して非劣性を示したことが発表された。

グルベス配合OD錠の新発売 (6月14日)

キッセイ薬品は、速効型インスリン分泌促進薬/食後過血糖改善薬配合剤「グルベス配合錠」に、新剤形として「グルベス配合OD錠」(ミチグリニドカルシウム水和物/ボグリボース配合口腔内崩壊錠)がラインアップに追加されることを発表した。