多剤併用による薬物有害事象を防ぐための処方の考え方を中心に解説した手引きである「超高齢社会におけるかかりつけ医のための適正処方の手引き」に糖尿病編が追加されました。さらに人工知能を用いたスクリーニングによる診断の成功例や、血糖コントロールと筋肉量の関係を見た研究報告について紹介しています。新しい情報や最新技術について先生のお考えをお伺いされる際にご活用ください。

日医作成『超高齢社会におけるかかりつけ医のための適正処方の手引き」糖尿病編について (5月24日)

日本医師会は患者さんの服薬管理を行う際の参考資料として『超高齢社会におけるかかりつけ医のための適正処方の手引き』糖尿病編を発表した。「高齢者糖尿病の血糖コントロール目標設定」として、目標値の考え方を示すとともに、その際に必要な認知機能とADL(日常生活動作)に着目した『認知・生活機能質問票(DASC-8)』の他、食事療法・運動療法、シックデイ対策等について掲載された。

また高齢者における薬物治療については「高齢者糖尿病の薬剤使用の注意点」をまとめた他、日本老年医学会の「高齢糖尿病患者に特に慎重な投与を要する薬物リスト」を基に、日本糖尿病学会の監修も得た薬剤の一覧表として、「高齢糖尿病患者の治療において注意を要する薬物と推奨される使用法」が掲載された。

人工知能(AI)の活用によりドイツの糖尿病クリニックが糖尿病性網膜症のスクリーニングをゼロから数千人に拡大 (5月15日)

臨床アプリケーションを開発するEyenuk Inc.はドイツへの事業拡張の成果について発表し、メルゲントハイム糖尿病センターにおいて、EyeArt AIアイ・スクリーニング・システムを採用して以来、数千人の糖尿病患者のスクリーニングを実施し、専門医への紹介の対象となる糖尿病網膜症(DR)の症例を約10%発見したことを明らかにした。メルゲントハイム糖尿病センターは糖尿病網膜症のスクリーニングに人工知能を使用するドイツ初の糖尿病専門病院であり、同システムを2018年10月に採用している。

2型糖尿病の非肥満患者における高血糖が筋肉量低下と関連する可能性について (5月9日)

糖尿病患者における血糖コントロール不良は、筋肉量の低下と関連することが示唆された研究報告が「Journal of Diabetes Investigation」に掲載された。 本研究においては、2型糖尿病患者746例(平均69.9歳)および高齢の一般集団2,067例(平均68.2歳)から構成され、2型糖尿病患者のうち52人がサルコペニア(弱い握力または遅い通常の歩行速度および低い骨格質量指数)を有すると診断された。

サルコペニアの頻度は、特に細身の患者におけるHbA1cレベルに比例して増加し、HbA1cレベルは弱い握力や遅い歩行速度よりも、低い骨格質量指数と特に関連していた。より良い血糖プロファイルを有する一般集団において、有意な関連は観察されなかった。