健康状態を計測する機器は日進月歩で開発が進んでおり、今回は非侵襲的に糖尿病を診断し得るデバイスや、AIを用いた血糖値予測システムの開発についてレポートを行っています。さらに糖尿病の合併症の原因となる物質の発見について取り上げてますので、糖尿病に関する診断治療の最前線を見逃さないよう情報収集の一助となれば幸いです。

フェニル硫酸が糖尿病性腎臓病の新規原因物質であることを発見 (4月24日)

東北大学は、腸内細菌が産生に関わるフェニル硫酸が糖尿病性腎臓病の原因物質の1つであることを明らかにした研究報告がNature Communications誌(電子版)に掲載されたことを発表した。

糖尿病患者を対象にしたヒトの臨床研究の結果から、フェニル硫酸は糖尿病性腎臓病増悪の予測因子であることが明らかになった。フェニル硫酸産生に重要な役割を果たす腸内細菌が持つ酵素チロシン・フェノールリアーゼが糖尿病性腎臓病の新たな治療法開発のターゲットとなり得ると発表では述べている。

手首に装着する小型デバイスで糖尿病を診断できる可能性 (4月23日)

非侵襲的で利便性の高い手首からの脈波測定により、糖尿病の発症をモニターできる可能性を示唆する研究報告がJMIR mHealth and uHealthで公開された。

50例の健常人と417例の糖尿病患者を対象に、糖尿病患者は高血圧と高脂血症の合併有無で4群に分け、5群の脈波パラメータを計測した。脈波の高さや時間距離や幅などにより、糖尿病を検出するアルゴリズムを作成すると96.35%の精度で糖尿病を検出できることがわかった。ただし高血圧および高脂血症を合併する糖尿病患者の予測精度は低かった。

人工知能(AI)を用いた血糖値予測システムの開発を発表 (4月5日)

名古屋大学は、測定した血糖値データのみによって30分後の血糖値を予測する人工知能を用いたシステムを新たに開発し、糖分やインスリン摂取量の手動入力を排除した血糖値の予測が可能となったことを発表した。発表によると、本システムにより将来的には涙液から発電・血糖値のセンシングを行うコンタクトレンズへの搭載を想定しており、針を刺すことなく血糖値の測定と予測を行うことができる一体的なシステムを実現できるとしている。