米ニューオーリンズで3月23~26日にかけて米国内分泌学会が開催されました。新たなガイドライン策定や血糖値検査についての精度など発表された内容のうち、診断および治療に関する報告を抜粋してご紹介しています。是非、海外と日本における考え方の違いを踏まえた治療方針についてのディスカッションにお役立てください。

糖尿病標準診療マニュアル(第15版)が公開 (4月1日)

一般社団法人日本糖尿病・生活習慣病ヒューマンデータ学会は、糖尿病標準診療マニュアル(第15版) 一般診療所・クリニック向けを公開した。

米国内分泌学会による高齢者の糖尿病治療のための臨床診療ガイドライン策定 (3月23日)

米国内分泌学会より新たなガイドラインが発表され、その中で65歳以上の糖尿病患者に対してより簡単な糖尿病レジメンに加え、より緩やかな血糖目標が強調された。

糖尿病と診断された高齢者の患者では、腎機能障害や消化管不耐症である患者を除き、経口療法においてはメトホルミンによる治療を行い、血糖が目標値に到達しない場合のみ他の経口治療および注射剤の追加を考慮することを推奨している。血糖目標値については、コンプライアンス向上と治療に関連する合併症を防ぐことを目標とし、目標値を調整してより寛容にすることで、全体的な健康および治療戦略を個別化することを有益だとしている。

HbA1cによる診断が糖尿病の過小評価となる可能性について (3月23日)

HbA1cによる検査が糖尿病を過小評価することを示唆する報告が、米国内分泌学会で発表された。 糖尿病と診断されていない成人9,000人においてHbA1c検査およびOGTTの両方が行われ、それらの結果を比較したところ、HbA1cによる検査が経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)によって検出された糖尿病の73%を過小評価していた。

さらに人種と民族性がHbA1cの精度に影響を与えていることも示され、ヒスパニックや非ヒスパニック系黒人よりも非ヒスパニック系白人の方が異常なグルコースレベルを検出する可能性が高いことが示唆された。