肥満による基礎代謝低下の分子メカニズムや腎臓病の早期診断に有用なアミノ酸を発見した研究結果を紹介しています。その他持続血糖測定器の発売の案内や、インスリン量を自動的に決定する装置に関して有効性を報告した論文を紹介しています。内容を確認し、知識の補完にお役立てください。

腎臓病の早期診断に有用なアミノ酸を発見 (3月25日)

医薬基盤・健康・栄養研究所(NIBIOHN)と、大阪大学、資生堂らとの共同研究で、慢性腎臓病の早期診断にD-アミノ酸の一つである「D-セリン」が有用であることを発見し、研究成果が「Scientific Reports」に掲載された。研究グループは、慢性腎臓病患者と健康な人の血中と尿中のD-アミノ酸を検討し、D-セリンが腎臓の糸球体ろ過量と強く相関し、これが従来の腎臓病のマーカーと同等以上である事、また尿のD-セリンは糸球体ろ過量以外の腎機能を反映しており、血液と尿のD-セリンを組み合わせることで腎臓病の診断率が良くなる事を確認した。

肥満による基礎代謝低下の分子メカニズムを解明 (3月19日)

広島大学の研究グループは、肥満による基礎代謝低下の分子メカニズムが、過栄養状態では脂肪細胞内にPin1と名づけられているプロリン異性化酵素が増加し、熱産生に関わるUCP-1の発現が減少することで基礎代謝量の低下が起こる事を発見し、研究結果が「Cell Reports」オンライン版に掲載された。本研究の結果から、過剰になっている Pin1 の機能を抑制することで、肥満や脂肪肝の治療方法に繋げられる可能性が示唆された。

テルモ株式会社は持続血糖測定器「Dexcom G4 PLATINUMシステム」の発売を開始 (2月28日)

テルモ株式会社は、持続血糖測定器「Dexcom G4 PLATINUMシステム」(デクスコム G4 プラチナムシステム)を発売した事を発表した。本製品は、糖尿病患者の血糖管理をサポートする医療機器で、センサーを腹部などに貼り付け、皮下の間質液中のグルコース濃度を連続的に測定し、また測定値を専用端末のモニターが受信する事で、リアルタイムでグルコース濃度の変動を確認できる。また本製品は精度が高く、低血糖時と高血糖時にアラートを出す安全機構を備えている事を特徴としている。

インスリン量を自動的に決定するデバイスが血糖コントロールに有効 (2月23日)

米国・国際糖尿病センター研究は、適切なインスリン量を自動的に決定する携行型の装置「d-Navインスリン・ガイダンス・システム(Hygieia)」を、2型糖尿病患者に対して医療者による支援に加えて用いると、医療者による支援のみの患者に比べ良好な血糖コントロールが達成される事を発表し、記事がLancetに掲載された。HbA1c値のベースラインから6カ月までの変化は、対象群は0.3%の低下に対して介入群は1.0%の低下が確認され、対象群に対して有意な差が認められた。