様々な糖尿病治療薬がこれまで発売し、医療費や治療成績を中心に環境が変化しています。今回のレポートでは海外の事例ですが糖尿病治療薬の使用トレンドや、高額な薬価についての批判と製薬会社の対応についてご紹介しています。他にも新たなプロモーション提携や、インスリン治療における新たな発表についてご紹介しておりますので、是非ご覧ください。

日常診療下で他の基礎インスリン製剤からトレシーバへ切り替えた糖尿病患者において、低血糖発現リスクが有意に低下 (3月11日)

大規模なリアルワールド試験であるReFLeCT試験の所見が英国リバプール開催のDiabetes UK Professional(DUK) 2019 Conferenceにて発表になった。ReFLeCT試験において、日常診療下で、医師の指示により主としてインスリングラルギン(U100またはU300)、インスリンデテミルなどの他の基礎インスリン製剤からトレシーバへ切り替えた1型および2型糖尿病患者において、血糖コントロールが改善され、低血糖の発現率、有意に低下することが示された。

さらに、ReFLeCT試験では、全般的な治療満足度スコア(DTSQ-s)がベースラインより有意に上昇し、トレシーバは先に使用していた基礎インスリン製剤と比較して、1月および2型糖尿病患者の治療満足度を向上させることも示した。

インスリン グラルギンBS注キット「FFP」国内におけるプロモーション提携 (3月11日)

富士フイルム富山化学と三和化学研究所は、インスリン製剤のバイオ後続品であるインスリン グラルギンBS注キット「FFP」の国内におけるプロモーション提携に合意したことを発表した。 本合意により、2019年3月28日以降、三和化学研究所が医療機関への医薬情報提供など独占的なプロモーション活動を、富士フイルム富山化学が販売を担う。

アメリカにおいて先発品の半額程度のヒューマログAGを提供開始 (3月4日)

イーライリリーは、高額な薬価に対して批判が強まる中で、主力のインスリン製剤「ヒューマログ」の価格を半額程度に引き下げたオーソライズドジェネリック「リスプロ」を発売することを発表した。

プライマリーケアにおける糖尿病薬使用トレンドと治療結果の変化についてみたレトロスペクティブ分析について (3月3日)

近年高価な新しい糖尿病治療薬の使用が増えていることに対して、新しい治療を開始した後の処方パターンと患者の短期における転帰(HbA1c、体重、血圧、低血糖、治療中止)の両方におけるトレンドを明らかにした報告が「DIABETES, OBESITY AND METABOLISM」で発表された。

2010年から2017年までの間にプライマリーケアで第一から第四選択の糖尿病治療薬の服用を開始した81,532人の2型糖尿病患者を調査した結果、第一選択薬としてメトホルミン使用の割合は一定であったが、第二選択薬においてDPP-4阻害剤がほぼ倍増、SGLT2阻害剤は第一から第四選択薬の17%を占めた。トレンドとしては、近年において血糖値の変化は改善されない一方で、短期における転帰については体重減少と低血糖の発生率が適度に改善したことがわかった。