血糖コントロール指標を迅速に測定する画期的な方法や、合併症の診断を迅速かつ高い費用対効果で行うAIシステムといった糖尿病に関する技術は日進月歩で開発が進んでいます。また新技術が伴うリスクについては指針が作成されており、今回はそれらをご紹介します。さらに食物摂取と健康リスクについての新たな報告もご紹介していますので、ディテーリングのドアオープナーとしてご活用ください。

糖尿病診断の検査時間を短縮できる新たな酵素を開発 (1月31日)
協和メデックスは、京都大学および摂南大学との共同研究により、HbA1cの測定試薬に応用可能な新たな酵素「HbA1cダイレクトオキシダーゼ(HbA1cOX)」を開発したことを発表した。

プレスリリースによると、現在HbA1cの測定には2ステップ法が採用されており、新たに開発したHbA1cOXを測定試薬に用いることで1ステップ法が実現でき、測定時間を最大で従来の半分まで短縮できることが期待されるとしている。HbA1cOX は1ステップ法に応用可能な世界初の酵素であり、協和メデックスは、今後、HbA1cOXを用いた測定試薬や測定機器を開発し、この酵素を用いたHbA1c測定方法の3年以内の実用化をめざす。

リアルタイムCGM適正使用指針の公開 (1月11日)
2018年12月1日から保険適用となったリアルタイムCGMについて、日本糖尿病学会は適正使用のための指針を公開した。

同指針では、リアルタイムCGMが使用できる施設として、インスリンポンプ治療を行っている施設で、糖尿病専門医(糖尿病治療経験5年以上)の常勤、インスリンポンプ治療の経験を2年以上有する常勤の看護師や薬剤師の配置がされている施設に限定されている。また実際の使用開始に際しては同学会が作成するeラーニングの受講を必須としている。

食物繊維の摂取量と糖尿病を始めとする健康リスクとの関係が明らかに (1月10日)
185件の前向き研究および58件の臨床試験をメタ解析し、食物繊維の推奨摂取量について定量的な根拠を明確にすることを目的の一つとした研究報告が「THE LANCET」に掲載された。

食物繊維の最も多い消費者と最も低い消費者を比較すると、全死因および心血管関連の死亡率、冠動脈性心疾患、脳卒中の発生率および死亡率、2型糖尿病、結腸直腸癌の発生率が15〜30%減少し、食物繊維の1日摂取量が25gから29gの間にあるときにリスクの減少が最大となった。

糖尿病性網膜症の迅速診断を行うAIシステムの開発に成功 (1月8日)
オーストラリアのRMIT大学が、糖尿病性網膜症の重要な徴候の1つである網膜上の水分を98%の精度で検出できる画像処理アルゴリズムを開発した。RMITの主任研究者Dinesh Kant Kumar教授は、この方法は糖尿病性網膜症の診断を行うにあたって即時性があり費用対効果が高いと述べた。