インクレチン関連薬と胆管癌リスクの関連や、ノボノルディスクが現在開発している1日1回の経口剤であるGLP-1受容体作動薬の新たな報告を取り上げています。内容を確認し、知識補完にお役立て下さい。

2型糖尿病患者におけるインクレチン関連薬が胆管癌リスクを上昇 (12月5日)
2型糖尿病患者におけるDPP-4阻害薬とGLP-1受容体作動薬の投与が、胆管癌のリスクを上昇させる可能性がある事が英国のコホート研究で報告され、記事がBMJ誌に掲載された。記事によると、61万4,274人の追跡期間中に発生した胆管癌は105例で、DPP-4阻害薬群は胆管癌のリスクが77%(HR:1.77、95%CI:1.04~3.01)上昇し、GLP-1受容体作動薬群も胆管癌のリスクの上昇(HR:1.97、95%CI:0.83~4.66)が示された。
DPP-4阻害薬とGLP-1受容体作動薬の使用は、スルホニル尿素またはチアゾリジン系薬と比較して、成人の2型糖尿病の胆管癌リスク増加と関連している可能性が示唆された。

経口のGLP-1受容体作動薬のセマグルチドの第3相試験「PIONEER 9」の結果が発表 (12月4日)
ノボノルディスクは、開発中の1日1回のGLP-1受容体作動薬の経口セマグルチドについて、日本人2型糖尿病患者を対象にビクトーザ0.9mgおよびプラセボと比較した第3相試験「PIONEER 9」の結果を発表した。

本試験では、2型糖尿病の日本人成人243名を対象に、経口セマグルチド3mg、7mg、14mgとビクトーザ0.9mgおよびプラセボとの比較により、経口セマグルチドの安全性および有効性を検証している。

結果、ベースラインで平均8.2%であったHbA1cが、投与後26週には経口セマグルチド3mg、7mg、14mgでそれぞれ1.1%、1.5%、1.7%低下し、プラセボでの0.1%の低下に比べ有意な減少を示した。また、経口セマグルチドの最高用量である14mgではビクトーザ0.9mgでの1.4%に比べ有意に低下した。投与後52週には、プラセボ投与ではHbA1cが0.5%上昇したのに対し、経口セマグルチド3mg、7mg、14mgではそれぞれ0.9%、1.3%、1.5%低下し、統計的に有意な低下が示された。体重の減少効果に関してはベースラインが平均71.1kgであった体重が、投与後52週に経口セマグルチド14mgで2.8kg減少し、プラセボの1.0kg減少およびビクトーザ0.9mgの0.4kg増加に比べ有意に減少した事が示された。また経口セマグルチド3mgおよび7mgでの体重減少は、それぞれ0.0kgおよび0.6kgであった。

安全性に関して、経口セマグルチドでもっとも発現頻度が高かった有害事象は便秘および軽度から中等度の悪心だったが、経時的に消失している。有害事象により投与を中止した被験者の割合は経口セマグルチドで2~4%であった。

ACCORD試験のデータ解析で血圧と脂質の強化管理は2型糖尿病患者の腎イベントのリスクを上昇 (11月7日)
心血管疾患リスクが高い2型糖尿病患者に対する強化降圧療法とフェノフィブラート投与による脂質の強化管理が、有害な腎イベントの発症リスクを上昇させる可能性があることが米国腎臓学会で発表され、結果が「Clinical Journal of the American Society of Nephrology」にて掲載された。

本研究は、心血管疾患リスクが高い2型糖尿病患者1万251人を対象としたACCORD試験(追跡期間が3.7年)と、その後6.5年間追跡したACCORDION試験のデータを事後解析したもので、血糖(HbA1c値6.0%未満)、血圧(収縮期血圧120mmHg未満)および脂質の強化管理による腎イベント(顕性アルブミン尿症、血清クレアチニン倍加、透析導入、腎転機による死亡)への長期的な影響について検証している。

検証の結果、強化血糖管理群では標準治療群と比べて腎イベントの発症率は8%低かったが、強化血圧管理群またはフェノフィブラート投与群ではともに16%と有意に高かった。二次解析の結果、強化血糖管理群では顕性アルブミン尿のみが32%と有意にリスクが抑制されていたが、血圧または脂質の強化管理群で影響がみられたのは血清クレアチニン倍増のみであり、それぞれ1.64倍と2倍のリスク上昇が確認された。