今回は新たなCGMシステムの発表、海外のガイドライン改訂、高血糖が引き起こす血管炎症の分子メカニズムに関する世界初の発見についてご紹介しています。いずれも糖尿病の治療方針についてディスカッションを行う話題として活用し得る内容ですので、是非ご確認ください。

日本メドトロニック アラート機能付きのリアルタイムCGM『ガーディアン コネクト システム』の提供を開始 (12月3日)
日本メドトロニック株式会社は、モバイル機器にデータを送ることにより、インスリン治療中の糖尿病患者が行う血糖コントロールをサポートする持続グルコースモニタリング(CGM)システム『ガーディアン(TM) コネクト システム』の販売を2018年12月3日より開始したことを発表した。

本システムはモバイル機器上で、グルコース変動をいつでも確認することができ、予測アラート通知機能により、高血糖や低血糖に至る可能性がある場合にいち早く糖尿病患者へ知らせることで、早めの対応を促すことが期待される。またCGMシステムとして日本で初めて、SMSテキストメッセージによるアラート通知が可能で、家族や医療従事者もアラート通知を受け取ることが可能となっている。

不健康な生活習慣による2型糖尿病の発症リスク予測について (11月21日)
交替制の夜間勤務と不健康な生活習慣の両方が、2型糖尿病のリスク上昇と関連していたという報告が「the BMJ」に掲載された。本研究は米国の看護師健康調査I(1988~2012年)および看護師健康調査II(1991~2013年)に参加した女性看護師のうち、ベースライン時に2型糖尿病、心血管疾患またはがんに罹患していない143,410例を対象とした前向きコホート研究である。

22~24年間のフォローアップ期間中に、10,915例で2型糖尿病を発症した。 2型糖尿病の多変量補正後ハザード比は、夜間勤務の5年間増加につき1.31(95%CI:1.19~1.44)であり、不健康な生活習慣(喫煙歴、低身体活動、および体重超過または肥満)が1因子につき2.30(1.88~2.83)であった。これらが併存することによりリスクが相加的に高くなることがわかった。本報告の中で、ほとんどの症例が健康的な生活習慣を守ることで2型糖尿病を予防できることを示唆していると述べられている。

高血糖による血管炎症が引き起こされる分子メカニズムと糖尿病性血管合併症の制御につながる新たな標的因子を発見 (11月19日)
高血糖による血管炎症が引き起こされる分子メカニズムと、糖尿病性血管合併症の制御につながる新たな標的因子を発見した研究結果が「FASEB Journal」のオンライン版に掲載された。

研究結果より、高血糖による細胞障害(糖毒性)にかかわる血管内皮の受容体RAGEが血管内皮の炎症を惹起し、またその炎症はRAGEの切断が誘導され高血糖と炎症の悪循環にブレーキをかけるネガティブフィードバック系が存在すること、さらにその分子機序が世界で初めて解明された。

兵庫医科大学は「本研究により、高血糖による血管炎症が惹起される分子機序、さらに糖尿病性血管合併症の制御につながる新たな標的因子を見出すことができた。今後、糖尿病性血管合併症の予防法開発に寄与するものと期待している。」と述べている。

米国において動脈硬化性心血管疾患のリスクを減少させるための脂質異常症治療に関するガイドラインが改訂 (11月10日)
米国において動脈硬化性心血管疾患のリスクを減少させるための脂質異常症治療に関するガイドラインが改訂となり、ガイドライン内で記載されている最も特筆すべき点(Top 10 Take-Home Messages)として、糖尿病患者の脂質管理について次のように述べられている。

糖尿病およびLDLコレステロールが70mg/dL以上の40〜75歳の患者では、10年間のASCVD(動脈硬化性心血管疾患)リスクを計算することなく中等度のスタチン治療を開始する。高リスクの糖尿病患者、特に複数の危険因子または50〜75歳の患者では、高強度スタチンを使用してLDLコレステロールを50%以上低下させることが妥当である。