今回は相次いで発売される糖尿病治療薬の合剤についての新発売情報に加え、2型糖尿病治療薬が主要心血管イベントの減少を示した前例のない臨床試験について紹介しています。いずれも必ず知っておくべき情報ですので、まだ確認されていない方は是非ご覧ください。

2 型糖尿病治療剤「メトアナ®配合錠」発売 (11月21日)
株式会社三和化学研究所は、選択的 DPP-4 阻害剤「スイニー錠」とメトホルミンの配合剤である2型糖尿病治療剤「メトアナ配合錠」の新発売を発表した。メトアナ配合錠LDは、スイニー錠100mgとメトホルミン250mgとの配合剤、メトアナ配合錠HDは、スイニー錠100mgとメトホルミン500mgとの配合剤である。なお中医協は14日処方制限の例外にすることを了承し、14日処方制限はない。

2 型糖尿病治療剤「トラディアンス®配合錠 AP/BP」発売 (11月20日)
ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリーは、DPP-4阻害剤リナグリプチン(製品名:トラゼンタ錠)と、SGLT2 阻害剤エンパグリフロジン(製品名:ジャディアンス錠)との配合剤である2型糖尿病治療剤「トラディアンス配合錠 AP/BP」の新発売を発表した。

トラディアンス配合錠APは、トラゼンタ錠5㎎とジャディアンス錠10㎎との配合剤、トラディアンス配合錠BPは、トラゼンタ錠5㎎とジャディアンス錠25㎎との配合剤である。これら異なる作用機序の2成分を配合し1剤にすることで、患者さんの服薬負担を軽減し、アドヒアランスを高め、より良好な血糖コントロールが得られることが期待されていると発表の中で述べられている。なおメトアナ同様、14日処方制限はない。

トルリシティⓇ(デュラグルチド)、心血管疾患の既往を有する患者が31%のREWIND試験において幅広い2型糖尿病患者で心血管イベントを有意に減少 (11月12日)
イーライリリーは、トルリシティ(一般名:デュラグルチド)の海外で実施されたREWIND試験において、プラセボと比較して主要心血管イベントの発現率が有意に減少し、本試験の主要有効性評価項目を達成したことを発表した。この結果によりデュラグルチドは、心血管疾患の既往歴がない患者が69%含まれる前例のない臨床試験において主要心血管イベントの減少を示した初めての2型糖尿病薬となる。

本試験にはベースライン時に心血管疾患の既往歴がない患者が69%含まれており、異なる心血管リスクを有する幅広い2型糖尿病成人患者のMACEの発現率をGLP-1受容体作動薬の中で初めて評価した。本試験では標準治療に追加したデュラグルチド 1.5 mg週1回投与をプラセボと比較した。REWIND試験の追跡期間中央値は5年以上であり、GLP-1受容体作動薬の心血管アウトカム試験としては最長の追跡期間であることについても発表の中で述べられている。