米国心臓協会(AHA)の学術集会が11/10から11/12に米国のシカゴで開催され、SGLT2阻害薬の大規模臨床試験の結果が発表されました。さらにAHAとは別に、心血管と腎臓へのSGLT2阻害薬の効果をみたメタ解析や、EMPA-REG OUTCOMEから得られたデータを解析した結果が発表されていますので、是非ご確認ください。

大規模心血管アウトカム試験のDECLARE-TIMI58試験の結果がAHA2018で発表 (11月10日)
心血管系イベントに及ぼすダパグリフロジンの作用を検証したDECLARE-TIMI58試験が、シカゴで開催された米国心臓協会(AHA)の学術集会で発表され、結果が「The New England Journal of Medicine」に掲載された。

複数の心血管リスク因子、あるいは心血管疾患の既往歴を有する世界33か国の2型糖尿病患者17,000人超を対象に、中央値が4.2年の追跡調査においてダパグリフロジンはプラセボ群に対して主要な心血管イベントは有意な低下率を示さなかったが、心不全による入院と心血管死の複合評価項目においては有意な減少を示した。

SGLT2阻害薬の心血管および腎臓の一次・二次予防アウトカムのメタ解析結果が発表 (11月10日)
SGLT2阻害薬は、2型糖尿病患者の動脈硬化疾患や心不全の既往に関わらず心不全入院や腎疾患進展を減らすことを示唆する結果が「THE LANCET」で報告された。

3件のプラセボ対照無作為化試験のメタ解析を行った結果、2型糖尿病患者34,322名を解析対象として、動脈硬化疾患の既往がある患者においては、主要な心血管イベントリスクが11%、心血管死や心不全による入院リスクが23%、腎疾患進展のリスクが45%減少されたことがわかった。心血管死や心不全による入院リスクと腎疾患進展のリスクについては、動脈硬化疾患の既往に関わらず、SGLT2阻害薬投与により同様のベネフィットがみられた。

平均生存期間の延長に関するエンパグリフロジンの新たなデータが公表 (10月30日)
ベーリンガーインゲルハイムは、心血管疾患を有する成人2型糖尿病患者の平均推定生存期間の延長に関するエンパグリフロジンの新たなデータが「Circulation」に掲載されたことを発表した。

EMPA-REG OUTCOME試験の被験者7,020人から得られたデータから、心血管疾患を有する成人2型糖尿病患者に対するエンパグリフロジンの投与により、プラセボ群に対して平均生存期間が1~4.5年延長することが示唆された。

生存期間の延長はどの年齢においても示されており、具体的には50歳、60歳、70歳、80歳の被験者において、プラセボ群と比較してエンパグリフロジン群では、それぞれ、3.1年、2.5年、2年、1年長くなるという結果が示された。