今回は肥満症治療剤やGLP-1受容体作動薬の体重減少効果を検討した新たな試験結果を紹介しています。また新薬開発に向けての買収の話題も紹介していますので、是非ご確認下さい。

ノボノルディスク、グルコース応答性インスリンの開発加速に向けてZiylo社を買収 (8月30日)
ノボノルディスクがZiylo社の全株式を取得したことを発表した。Ziylo社は英国ブリストル大学から独立し、合成グルコース結合分子をいち早く治療・診断に応用した先駆者的企業であり、この買収によりノボノルディスクが行うグルコース応答性インスリン開発が促進されるとしている。グルコース応答性インスリンは、血糖値が上昇した時のみ活性化することで、低血糖リスクの最小化が期待されている。

体重過多または肥満の患者におけるロカルセリンの心血管安全性に関する試験結果 (8月26日)
エーザイの肥満症治療剤であるロルカセリンの心血管安全性を検討した試験結果がthe New England Journal of Medicineに掲載された。

肥満の成人患者で心血管疾患既往もしくは心血管疾患のリスク因子を有する2型糖尿病患者12,000人を対象にロルカセリンを1年間投与した結果、ロルカセリン群では平均4.2kgの体重減少、プラセボ群は平均1.4kgの体重減少となり、プラセボ群と比較し、主要心血管イベントの割合を上げることなく有意な体重減少を示した。

本剤は国内では未発売だが、米国において成人患者の体重管理を目的とした食事療法と運動療法に対する補助療法として、2013年6月に発売している。

セマグルチドによる体重減少効果を検証した第2相臨床試験結果 (8月16日)
セマグルチドの有効性と安全性および体重減少効果を検証した第2相臨床試験の結果がLancetに掲載された。本報告は、BMIが30以上の2型糖尿病ではない肥満患成人にセマグルチドを52週間投与した結果、リラグルチド群とプラセボ群と比較し、体重減少効果が有意に高かった。

有害事象はGLP1受容体作動薬でみられる、用量依存性の消化器症状、主に吐き気であった。セマグルチドは52週間にわたって忍容性が良好であり、すべての用量でプラセボと比較して臨床的に有意な体重減少を示した。