炭水化物・糖質制限が与える影響や、禁煙後に糖尿病リスクが増加する条件および1型糖尿病の発症年齢と心血管リスクについて、有名誌に報告が掲載されています。糖尿病治療に深く関わる研究報告ですので、是非ご確認ください。

炭水化物摂取量と死亡率の関係 (8月16日)
炭水化物摂取割合が高い群と低い群の両方で死亡率が増加し、50-55%の摂取が最も低リスクであることを示唆する報告が「THE LANCET Public Health」に掲載された。

1987年から1989年に実施されたARIC studyにおいて、栄養に関するアンケートに回答した米国のコミュニティに属する45-64歳の15,428名を対象に、炭水化物摂取量と死亡率との関連性を25年(中央値)に渡り調査した。上記の結果に加えて、低い炭水化物摂取において、タンパク質または脂質を動物由来で摂取した場合は死亡率が高く、植物由来の場合は死亡率が低いという結果が得られた。

Risk Factors, Mortality, and Cardiovascular Outcomes in Patients with Type 2 Diabetes (8月16日)
5つの主要なリスク因子を管理目標内に治療することで、一般集団に対する死亡や心血管疾患の発症リスク増加はほぼ認められないとする研究結果が「New England Journal of Medicine」に掲載された。

禁煙後の体重増加と糖尿病発症リスク増加の関係 (8月15日)
禁煙後に体重が増加するに伴い、2型糖尿病の発症リスクが高まる可能性があることが「New England Journal of Medicine」で報告された。

米国の医療従事者171,150名を平均で約19年間追跡し、体重増加と2型糖尿病発症リスクとの関連や、心血管疾患やその他の状態による死亡リスクに対する体重増加の影響を調べた。現在の喫煙者と比較して、最近の禁煙者は、平均して2型糖尿病を発症するリスクが22%高かった。増加した糖尿病リスクは、禁煙開始後5~7年でピークに達して徐々に低下した。禁煙者は体重が増えるほど、2型糖尿病のリスクが高くなり、体重が増加していない場合にはリスクが増加しなかった。

さらに10kg以上体重が増加した場合においても、早期死亡のリスクは、禁煙後に平均でそれぞれ50%および67%減少し、共同著者であるYang Hu氏は「喫煙者は、心血管疾患リスクの短期および長期の減少が明らかであるため、禁煙後に体重増加が起こらないようにすべきである」と述べている。

若年における1型糖尿病の発症が死亡や心血管疾患などのリスク増加に寄与する可能性 (8月11日)
1型糖尿病の発症時年齢が若年であることが、死亡や心血管疾患などのリスク増加に繋がるとする報告が「THE LANCET」に掲載された。

スウェーデンの糖尿病患者として登録された約27,200例と一般集団を対象にコホート試験を行ったの結果、10歳未満時の発症が、男性で14.2生存年、女性で17.7生存年の損失となり、発症が10歳未満の症例においては26~30歳の場合に比べ、死亡や心血管疾患などのリスクは最大で5倍に上った。