血糖降下作用以外の効果をSGLT2阻害剤が有する可能性や、新たな副作用について報告が集積し、改めて医療従事者の治療方針を理解し、患者さんに応じた治療提案が重要性を増すと考えられます。是非、最新情報をご確認ください。

アストラゼネカ、SGLT2阻害剤「フォシーガ」の2型糖尿病合併および非合併心不全患者さんに対する影響を評価する新たな第III相試験「DELIVER」試験を開始 (8月31日)
アストラゼネカは、左室駆出率が保持された心不全(以下、HFpEF)患者を対象に、心血管死または心不全の悪化に対するダパグリフロジンの抑制効果を検証するDELIVER試験を開始することを発表した。

DELIVER試験は、二重盲検、無作為化、プラセボ対照国際第III相試験であり、治験総括医師であるDr. Scott Solomonは、次のように述べた。「心不全による入院の約半数は、HFpEFによるものです。人口高齢化に伴い有病率は増加していますが、現在エビデンスに基づいて確立された治療法はありません。DELIVER試験では、大きなアンメットニーズが存在するこの患者集団の有病率および死亡率に対するダパグリフロジンのイベント抑制効果を検証します。」

DELIVER試験は、2型糖尿病合併および非合併の両患者におけるSGLT2阻害剤の心血管ベネフィットを評価する最初の試験であるDAPA-HF試験の相補的試験として実施され、DAPA-HF試験において患者登録は終了し2019年の試験完了に向けて順調に進行していることが発表された。

SGLT2阻害薬のフルニエ壊疽リスクについて米FDAが警告 (8月29日)
SGLT2阻害薬服用患者で、会陰部に生じた壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)を発症した症例が、医学論文で12例報告され、FDAは同薬の添付文書と患者向け医薬品情報に警告を記載することを求めている。

症例は、SGLT2阻害薬の服用開始から数カ月以内にフルニエ壊疽を発症し、多くの症例で服用を中止、入院、外科手術による治療が行われ、死亡例が1例確認された。

FDAは、SGLT2阻害薬を服用していて、性器やその周辺に圧痛・赤み・腫れがみられ、38℃以上の発熱や体調不良がある場合、すぐに受診することを推奨している。医療従事者に対しては、これらの症状が確認された患者を調べ、フルニエ壊疽が疑われる場合には広域スペクトラムの抗菌薬による治療を直ちに開始し、必要であれば手術を行うほか、SGLT2阻害薬の服用を中止した上で別の糖尿病治療薬に切り替えることを求めている。