SGLT2阻害薬による睡眠呼吸障害、糖尿病黄斑浮腫や皮膚がんへの効果といった、多面的な効果についての報告を紹介しております。SGLT2阻害剤においては適応外の効果になりますが、最新情報として是非ご確認ください。

肥満2型糖尿病患者における睡眠呼吸障害に対するダパグリフロジンの有効性 (7月26日)
ダパグリフロジン投与による睡眠呼吸障害(SDB)の改善を検証した試験が「Endocrine Journal」オンライン版で報告された。
日本人2型糖尿病およびSDB患者30名を対象に、主要エンドポイントであるダパグリフロジン5mg投与前と24週間後の酸素飽和度低下指数(ODI)の変化を検証した結果、中等度から重度のSDB患者では3%のODI改善が観察された。結論として、24週間のダパグリフロジンの投与は、肥満および2型糖尿病患者の中等度から重度のSDBは改善するが軽度のSDBは改善しない可能性が示唆された。

2型糖尿病患者における皮膚がんに対するSGLT2阻害剤の関連性を検証したメタ解析 (7月23日)
これまでSGLT2阻害薬の使用でメラノーマのリスクにわずかな増加が観察されており、その関連を検証した報告が「Diabetes, obesity and metabolism」オンライン版に掲載された。本研究では2018年5月2日までの電子データベースを用いて、20,816人の患者を対象とした無作為比較試験(RCT)21件のメタアナリシスを実施している。

その結果、SGLT2阻害剤使用者のメラノーマリスクの有意な増加は見出されず、さらにSGLT2阻害剤の種類、患者の年齢、人種や民族性、および試験期間に関わらず、同様の結果がサブグループ分析で観察された。本報告では現在のRCTからのエビデンスにおいては、SGLT2阻害剤に伴う皮膚癌の有意な増加リスクが認められなかったと結論付けられている。

硝子体切除後の眼における糖尿病黄斑浮腫に対するSGLT2阻害剤の効果(レトロスペクティブ研究) (7月23日)
SGLT2阻害薬の投与で慢性の糖尿病黄斑浮腫(DMO)の改善を検証した試験がBMJにて報告された。本研究では京都府立大学でSGLT2阻害剤の投与が開始された、硝子体切除術の施行後6ヶ月以上が経過した5人の患者で検証されている。その結果、投与12カ月の視力および中心網膜の厚さが改善し、症例数は限られるが、SGLT2阻害薬投与によるDMOに対する有効性が示唆された。