今回は一回の遺伝子治療で肥満とインスリン抵抗性を改善する治療法、糖尿病薬の新製品に関する情報、メトホルミンの妊婦への影響と、様々な新たな知見をご紹介しています。是非、自社製品のみならず他社の新製品情報、今後開発され得る治療法について情報をご確認ください。

厚生労働省が薬食審の第一部会でNBIのDPP-4阻害薬とSGLT2阻害薬の配合剤について審議することを発表した (7月13日)
厚生労働省は7月27日に薬事・食品衛生審議会における医薬品第一部会の開催を発表し、日本ベーリンガーインゲルハイムが承認申請したトラディアンス配合錠APおよび同配合錠BP(リナグリプチンとエンパグリフロジンの合剤)について審議を行うことを決めた。同製品に関する審議内容は「生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」としている。

1回の遺伝子治療で肥満およびインスリン抵抗性の長期改善を達成し得るFGF21による遺伝子療法の開発に初めて成功 (7月9日)
バルセロナ自治大学の研究チームはFGF21(線維芽細胞増殖因子21)産生を誘導する遺伝子療法を用いて、マウスの肥満と2型糖尿病の治療を行った。FGF21産生を誘導することにより、体重が減少しインスリン抵抗性が改善した。

研究チームの一人であるVeronica Jimenezは「本研究ではヒトの肥満および2型糖尿病に準じる動物モデルにおいて、初めて1回の遺伝子治療で肥満およびインスリン抵抗性の長期改善が達成された。この結果は、それが安全で効果的な治療法であることを実証している。」と述べている。

日本イーライリリー 超速効型インスリン製剤「ヒューマログ注ミリオペンHD」を新発売 (7月2日)
日本イーライリリーは、糖尿病治療薬の超速効型インスリン製剤「ヒューマログ®注ミリオペン®HD」を発売した。同製剤は、0.5単位刻みで投与量の調節ができるディスポーザブルタイプのインスリン製剤として、日本で初めての発売となる。同社は本製品について、従来販売している「ヒューマログ®注ミリオペン®」の特徴である簡便な操作性やコンパクトで手の小さい患者さんでも扱いやすい形状に加え、0.5 単位刻みできめ細かく投与量を調節することが可能となったインスリン製剤としている。

GLP-1受容体作動薬セマグルチドの経口製剤を用いた第3a相試験PIONEER3の結果が発表 (6月28日)
経口セマグルチドは、長期安全性および有効性試験であるPIONEER3において、シタグリプチンと比較してHbA1cおよび体重の優れた減少を示した。経口セマグルチドは1日1回投与の錠剤でありGLP-1類似体である。SU薬の投与にかかわらずメトホルミンで効果不十分である2型糖尿病患者1,864人を対象に、シタグリプチン100mgと比較し78週間の観察を行った。その結果、経口セマグルチドの忍容性は良好であり、GLP-1ベースの治療と一致するプロファイルであった。

Metformin exposure in first trimester of pregnancy and risk of all or specific congenital anomalies: exploratory case-control study (6月25日)
ヨーロッパの先天性異常記録に登録されている190万人出生を調査したEUROCATのデータを解析して、妊娠初期のメトホルミン曝露による先天性異常のリスク増加について調べた報告が、6月25日のBMJオンライン版に掲載された。1000人の出生あたり3.3人がメトホルミン曝露していたが、先天性の異常リスク上昇が認められなかった。