今回はCVD-REALのサブ解析による心SGLT2阻害薬の筋梗塞や脳卒中への影響や、SGLT2阻害薬のてんかん発作への効果についての報告を紹介しています。また新規にSGLT2阻害薬とDPP-4阻害薬を比較した試験開始についても紹介しておりますので、是非本レポートをご活用ください。

ダパグリフロジンによるてんかん発作活動の抑制が示唆された (6月7日)
ペンチレンテトラゾール誘導性のてんかんモデルマウスを用いた、SGLT2選択性の高いダパグリフロジン投与によるてんかん発作抑制の可能性が検証された試験が、「BMC Neurology」に6月7日掲載された。結論としてグルコースの利用阻害およびニューロンのナトリウム輸送減少による抗発作効果により、SGLT2阻害薬が抗てんかん発作薬として利用できる可能性を示唆している。

日本臨床内科医会は、ルセオグリフロジンとDPP4阻害薬の有効性を直接比較検討する特定臨床研究「J-SELECT study」を開始した (5月30日)
J-SELECT studyは2型糖尿病患者1000人を対象に「有効性(HbA1c、体重、血圧、脈拍、eGFR)の観点から、SGLT2阻害薬(ルセオグリフロジン)とDPP-4阻害薬の薬剤について、複合的に比較検討を行うこと。」を目的としている。本試験ではベースライン時から観察ポイント52週時までにおけるHbA1c・体重・eGFR・血圧・脈拍の変化が3つ以上で改善した症例の割合(複合エンドポイントの達成率)を主要アウトカム評価項目としている。

SGLT2阻害薬の心筋梗塞および脳卒中リスク減少が示唆された(CVD-REALサブ解析) (5月22日)
本報告はCVD-REAL試験のサブ解析であり、SGLT2阻害薬と心筋梗塞(MI)および脳卒中の発症率の関係を検証している。Intention-to-treat分析において、188,551人および188,678人年の追跡調査(それぞれMIと脳卒中)では、1077例の MIおよび968例の脳卒中イベントがみられ、他のグルコース低下薬に対してSGLT2阻害薬を服用することによりMIおよび脳卒中のリスクの低下が示された。