厚生労働省が発表した人口動態統計速報により、各都道府県の糖尿病死亡率が発表されました。これに加えて今回は2 型糖尿病患者の薬物療法の負担を測定する新たな指標や、5万人を超える日本人の2型糖尿病の累積リスクについての報告を紹介しています。

平成29年(2017)人口動態統計月報年計(概数)の概況が厚生労働省より発表 (6月1日)
厚生労働省の人口動態統計速報によると、平成29年度における糖尿病による死亡数(死亡率)は全国で13,959人(11.2%)であり、去年より0.4%増加した。上位より、徳島(19.8%)、青森(19.1)、秋田(16.9%)であり、下位より神奈川(8.3%)、愛知(8.6%)、滋賀(9.1%)であった。

2 型糖尿病患者の薬物療法の負担感と満足度に関する調査 (5月22日)
奈良県立医科大学は、日本イーライリリー株式会社の支援により、2 型糖尿病患者の薬物療法の負担を測定するためのアンケート調査手法(Diabetes Treatment Burden Questionnaire:以下DTBQ)を開発し、236 名の成人患者を対象に糖尿病薬物療法の負担感と満足度に関する試験を実施した。
本試験により週1回の経口薬の患者負担が最も低く、HbA1c値が高い患者の方が薬物療法における負担を感じていることがわかった。この結果はDiabetes Therapy にて掲載された。

Impact of Body Weight Loss From Maximum Weight on Fragility Bone Fractures in Japanese Patients With Type 2 Diabetes: The Fukuoka Diabetes Registry (5月14日)
2型糖尿病患者、特に男性において20%以上の体重減少は脆弱性骨折の有意な危険因子であるという報告がDiabetes Careで発表された。10%未満群と比較した脆弱性骨折の多変量補正ハザード比は、男性において10~20%未満群が1.48(95%CI 0.79-2.77)、20~30%未満群が2.23(同1.08-4.64)、30%以上群が5.20(同2.15-12.57)、閉経後女性においてはそれぞれ1.19(同0.78-1.82)、1.62(同0.96-2.73)、1.97(同0.84-4.62)となった。

Cumulative Risk of Type 2 Diabetes in a Working Population: The Japan Epidemiology Collaboration on Occupational Health Study (5月4日)
5万人を超える60歳未満の会社員を対象に調査した「J-ECOHスタディ」において糖尿病リスクが検証され、男性は34.7%、女性は18.6%が65歳までに2型糖尿病を発症する可能性があることが示された。さらにBMIが高い肥満の人ほど2型糖尿病の累積リスクは上昇することが示されている。この研究は「Journal of Epidemiology」オンライン版に発表された。