今回は疾患情報レポートとして、糖尿病患者の下肢切断後の影響や睡眠時無呼吸症候群との関連などのいくつかの研究発表についてご紹介します。先生との話題としてご活用ください。

睡眠時無呼吸症候群が高血圧や糖尿病のリスクに関連 (5月9日)
睡眠時無呼吸症候群が高血圧や糖尿病のリスクに関連性がある事が、京都大学の研究グループにより国際学術誌であるSLEEPのオンライン版に発表された。報告によると、短時間睡眠と睡眠呼吸障害、肥満を有する患者において高血圧のリスクに関連し、糖尿病に関しては女性においてのみの関連が示された。特に閉経前女性においては、中等症以上の睡眠呼吸障害があると糖尿病のリスク著明に高かった。

テルモは米国デクスコム社と糖尿病領域で提携を発表 (5月7日)
テルモは米国の医療機器メーカーであるデクスコム社と糖尿病領域で提携し、持続血糖測定器(CGM)の日本での独占販売権を取得した事を発表した。保険収載後、販売はテルモが2018年度内に開始する計画で、数年にわたり段階的に新製品を発売していく予定である。CGMは日本ではアボットやメドトロニックの2社から既に販売されており、テルモは3番手の参入予定となる。

Regular Use of Aspirin or Non-Aspirin Nonsteroidal Anti-Inflammatory Drugs Is Not Associated With Risk of Incident Pancreatic Cancer in Two Large Cohort Studies. (5月4日)
アスピリンの常用で糖尿病患者の膵臓癌リスクが低下する可能性を示唆する研究結果が、Gastroenterologyに発表された。14万例を超えるコホートで膵臓癌を発症した1,122例の解析で、アスピリンまたは非アスピリン系NSAIDの使用と膵臓癌の発症リスクとの関連は認められなかったが、サブグループ解析において糖尿病患者のアスピリン常用は膵臓癌のリスク低下の関連が認められた。

糖尿病患者の下肢切断後の死亡リスクが高い (4月27日)
糖尿病患者は下肢切断後の死亡率が高いとの研究結果が、Diabetes Careのオンライン版に掲載された。ニュージーランドで30万人を超えるコホート解析により、大腿や下腿の切除を受けた患者の死亡率は30日以内で11%超えであり、90日以内では18%であった事が報告されている。下肢切断を受けた患者の死亡率は高く、年齢や人種により術後の死亡率に差がみられている。