今回は糖尿病モデル動物を用いたプレイオトロピックエフェクトに関する最新報告をご紹介します。これを活用して臨床効果に繋げることは尚早ですが、SGLT2阻害についてどんな研究が進められているのか是非ご参考にしてください。

肥満2型糖尿病db/dbマウスにおけるイプラグリフロジンの膵島細胞に対する防御効果 (5月1日)
イプラグリフロジンが2型糖尿病における膵島β細胞の進行性消失を防ぐことを示唆する、2型糖尿病モデルマウスを用いた研究報告がBiological and Pharmaceutical Bulletinのオンライン版に掲載された。
イプラグリフロジン10mg/kgの5週間投与により、膵インスリン含有量が糖尿病コントロール群よりも高い傾向があった。知見として、膵島細胞における糖脂質毒性の改善および酸化ストレスの軽減が実証されたとしている。

2型糖尿病マウスを用いたイプラグリフロジンによる糖尿病性腎症の進行予防効果 (4月24日)
イプラグリフロジンの糖尿病性腎症の予防を示唆する2型糖尿病モデルマウスを用いた研究報告がEuropean Journal of Pharmacologyのオンライン版に掲載された。
イプラグリフロジン4週間反復投与により、高血糖症、インスリン抵抗性、および尿中グルコース排泄を増加させることによる炎症を含む様々な糖尿病症状を改善した。また腎機能の低下への効果は、1mg/kg以上の投与で有意であり、糖尿病性腎症に適応があるロサルタン(30mg/kg)の投与後に観察された効果と同様であった。

1型糖尿病モデルラットにおけるSGLT2阻害による酸素消費/酸素分圧の減少効果 (4月20日)
エンパグリフロジンの腎臓疾患に対する保護メカニズムを明らかにするため、1型糖尿病モデルラットにおける腎機能へのエンパグリフロジンの影響を調べた研究が、The FASEB Journalのオンライン版で報告された。
エンパグリフロジンは、1型糖尿病モデルラットにおいて血糖値を低下させるとともに、腎臓のグルコース再吸収と酸素消費を減少させ、腎皮質の酸素分圧を増加させた。この結果はエンパグリフロジンが臨床的に腎臓疾患の割合を減少させる機序への洞察となり、さらに現在はSGLT2阻害に関する分子メカニズムやミトコンドリア機能の研究が進められているとしている。