植物ベースの食事と2型糖尿病の関係、医師からの共感による2型糖尿病と心血管疾患との関連をみた報告を紹介しております。また2型糖尿病と心血管疾患の危険因子について世界規模で調査した研究結果を紹介しております。是非とも内容をご確認していただき、知識補完にお役立てください。

植物ベースの食事が2型糖尿病の発症リスクを減少 (7月22日)

植物ベースの食事を摂ることで、2型糖尿病の発症リスクが減少することを米国のハーバード公衆衛生大学院の研究で明らかとなり、研究の詳細がJAMA Internal Medicineに掲載された。

本研究は、植物ベースの食事と2型糖尿病の発症の関連について、9件の研究から2万3,544人の糖尿病患者を含む30万7,099人を対象に解析を行った。結果、植物ベースの食事を摂っている人は、そうでない人に比べ、全体的に2型糖尿病のリスクが23%低下した事が明らかとなった。植物ベースの食事には、果物、野菜、全粒穀物、大豆、豆類、ナッツ類などの植物性の食品を十分に摂ることで、2型糖尿病のリスクを減少できることが示された。

2型糖尿病と心血管疾患の危険因子についての意識調査の結果が発表 (7月12日)

国際糖尿病連合(IDF)がノボノルディスクによる世界規模の意識調査により、日本人の2型糖尿病患者の62%が心血管疾患の危険因子を有し、および/または心血管イベントを発症していたことが明らかになった。

本調査は2型糖尿病患者における心血管疾患に対する認識と知識を調べる初の世界規模のオンライン調査で、133ヵ国から日本人1,507人を含む1万2,695人の2型糖尿病患者が回答を行った。本調査結果により、日本人の2型糖尿病患者の心血管疾患に対する認識や求めている情報が明らかとなり、主な調査結果は以下の通りであった。

・回答者の62%が、ストレス(66%)、運動不足(50%)、血糖コントロール不良(45%)などの心血管系の危険因子を有し、および/または心不全(5%)、心臓発作(4%)、脳卒中(4%)などの心血管イベントを発症していた。
・4人に1人(25%)が、心血管疾患について一度も学んだことがないと回答。
・2型糖尿病と心血管疾患のリスクについて医療従事者と話し合ったことが一度もない、または思い出せないと回答した人が全体の35%。
・全体の40%が心血管について、医療従事者と話し合ったことが一度もない、または思い出せないと回答。
・61%の患者が、心血管疾患に関する情報を医療従事者に頼っていると回答。
・回答者の72%が、食事や運動による心血管疾患のリスクを防ぐアドバイスを求めていると回答。

また日本人の回答者の年齢分布は、40歳未満が2%、40~60歳が22%、60歳以上が76%。男女比率は、男性が60%、女性が40%。罹病期間は、0~3年未満が12%、3~6年未満が13%、3~9年未満が13%、9年以上が62%であった。

医師からの共感による2型糖尿病と心血管疾患との関連 (7月10日)

2型糖尿病と診断されてから1年以内に医師からの共感を経験した患者には、心血管疾患イベントの減少や全死亡率の低下といった長期ベネフィットがあることを示唆する英ケンブリッジ大学による研究結果がAnnals of Family Medicineに掲載された。

本研究は、2型糖尿病と診断された患者867人を対象に、平均追跡期間が10年間にわたる住民ベースの前向きコホート研究を実施し、患者は診断の12カ月後に、医師からの共感および過去12カ月間の診療経験ついて、CARE measureを用いて評価を行った。その結果、CARE measureに全て回答した患者628人のうち、19%が心血管疾患イベントを発症し、21%が追跡期間中に死亡が確認された。本結果より、CARE measureにより得られたスコアを3群に分けて更に解析を行った結果、共感の高い群は、共感の低い群と比較して、心血管疾患イベントの発症リスクの低下の関連は示されたが、統計学的有意差は認められなかった。一方、全死亡率に関しては、有意な低下が認められた。