国際機関による調査や厚生労働省による調査の結果が発表されています。さらに今回のレポートでは、糖尿病とがんとの関連や、肝機能の指標と糖尿病の発症リスクの関連についての研究結果が報告されています。是非、最新情報をご確認頂き、疾患知識のアップデートにお役立てください。

国際糖尿病連合(IDF)とノボノルディスク社による2型糖尿病患者を対象とした、心血管疾患に対する初の世界規模意識調査の結果 (10月1日)
国際糖尿病連合(IDF)はノボノルディスク社と提携しワールド・ハート・デー(9/26)に世界規模の意識調査であるTaking Diabetes to Heartの調査結果を発表した。IDFによる初の世界規模の2型糖尿病患者における心血管疾患に対する認識についての調査で、130ヵ国を超える国々から12,000件以上の回答を取得した。

調査の中では、2型糖尿病患者の3人に2人が心血管疾患リスク因子を有しているか、心血管イベントを発症していた事が明らかになった。さらに罹患率が高いのにもかかわらず、2型糖尿病患者の4人に1人は、心血管疾患のリスク因子について医師と一度も話し合った事がないか、話し合った事を思い出せないと回答した。

血中のALT値とGGT値の上昇で2型糖尿病の発症リスクが増加 (9月11日)
肝機能の指標であるALT値とGGT値が同時に上昇すると、2型糖尿病の発症リスクが有意に高くなる事が、名古屋大学の研究グループの研究により報告された。報告は2型糖尿病の既往のない日本人男性2,775人を対象に12年間フォローアップした結果であり、ALT値とGGT値がともに上昇している群では、ALT値とGGT値の両方またはそれぞれが上昇していない群と比較すると、2型糖尿病の発症率が有意に高い事が確認された。

本結果は飲酒や肥満に関係なくALT値とGGT値の両方が上昇している群で2型糖尿病の発症リスクが高くなる事が報告されているが、中性脂肪値が正常であれば2型糖尿病の発症リスクの上昇は認められていないという結果であった。

厚生労働省による平成29年「国民健康・栄養調査」の結果 (9月11日)
平成29年「国民健康・栄養調査」の結果が厚生労働省より発表された。糖尿病に関する状況として、「糖尿病が強く疑われる者」の割合は男性で18.1%、女性で10.5%であった。この10年間でみると、男女とも有意な増減はみられず、年齢階級別にみると年齢が高い層でその割合が高い事がわかった。

Osteoporosis and vertebral fracture are associated with deterioration of activities of daily living and quality of life in patients with type 2 diabetes mellitus (9月6日)
糖尿病による骨粗鬆症や中等度以上の椎体骨折は他の合併症と独立して日常生活動作(ADL)と生活の質(QOL)を有意に低下させる事が島根大学の研究グループにより報告され、研究結果が「Journal of Bone and Mineral Metabolism」のオンライン版に掲載された。

2型糖尿病患者309人を対象に、ADLとQOLをそれぞれの指標であるBarthel Index(BI)とSF-36を用いて評価しており、骨粗鬆症もしくは中等度以上の椎体骨折を有する2型糖尿病患者で有意に低かった事が示された。

血中のC-ペプチド濃度ならびにグリコアルブミン濃度とがんとの関連について (9月5日)
血中のC-ペプチド濃度ならびにグリコアルブミン濃度とがんの発症リスクとの関連について、国立がん研究センターが実施するコホート研究によって結果が発表された。血中C-ペプチド濃度が最も低い群を基準としたときに、最も高い群でがん全体の発症リスクが有意に高い事が確認された。

部位別にみると、結腸がん、肝臓がん、腎臓・腎盂・尿管がんで発症リスクが有意に高かった。血中グリコアルブミン濃度も同様に最も低い群と高い群で比較すると、血中グリコアルブミン濃度が高い群で、結腸がん、肝臓がんの発症リスクが有意に高く、一方で胃がんの発症リスクは有意に低下していた事が確認された。また男女別にみると、血中C-ペプチド濃度と血中グリコアルブミン濃度がともに関連していた結腸がんと肝臓がんでは、男性でより関連が顕著であった。