今回は糖尿病治療における新薬の販売承認取得や、血糖値の上昇抑制を示唆する新たな化合物、さらには糖尿病患者に限ったスタチンの予防効果等について紹介しています。是非、最新の研究結果をご確認頂き知識のアップデートにお役立てください。

2型糖尿病治療用配合剤「トラディアンス®配合錠 AP/BP」 国内製造販売承認取得 (9月21日)
日本ベーリンガーインゲルハイムと日本イーライリリーは、日本において承認申請していたDPP-4阻害剤リナグリプチン(製品名:トラゼンタ®錠)と、SGLT2阻害剤エンパグリフロジン(製品名:ジャディアンス®錠)との配合剤について、日本ベーリンガーインゲルハイムが2型糖尿病を効能・効果として厚生労働省より国内製造販売承認を取得したことを発表した。

トラディアンス®配合錠APおよびBPは、DPP-4阻害剤であるトラゼンタ®錠と、SGLT2阻害剤であるジャディアンス®錠の有効成分を配合している。トラディアンス®配合錠APは、トラゼンタ®錠5㎎とジャディアンス®錠10㎎との配合剤、トラディアンス®配合錠BPは、トラゼンタ®錠5㎎とジャディアンス®錠25㎎との配合剤である。

微細藻類ユーグレナ由来物質による血糖値の上昇抑制について (9月10日)
微細藻類ユーグレナ由来のジアトキサンチン含有カロテノイドの継続摂取により、血糖値の上昇が抑制されることを示唆する研究結果が第57回日本油化学会にて発表された。ユーグレナにより下記の通り、プレスリリースが発表されている。

マウスを①通常食を与えたマウス群、②高脂肪食を与えたマウス群、③高脂肪食にユーグレナ由来のジアトキサンチン含有カロテノイドを入れたエサを与えたマウス群の3つに分け、それぞれ6週間経口摂取させた後に血糖値を測定した。その結果、③の高脂肪食とユーグレナ由来のジアトキサンチン含有カロテノイドを入れたエサを摂取したマウス群は、②の高脂肪食のみを摂取したマウスよりも血糖値の上昇が抑制されることが確認されている。

高齢者におけるスタチンの一次予防効果が2型糖尿病患者に限られることを示唆する報告について (9月5日)
高齢者におけるスタチンの一次予防効果が2型糖尿病患者に限られることを示唆する報告が「The BMJ」オンライン版に掲載された。本研究は、スペインのプライマリーケアにおけるデータベースを活用し、75歳以上の46,864名をスタチン使用または未使用に層別化して、アテローム硬化性脳血管疾患発症または総死亡率を検証した後ろ向きコホート研究である。

2型糖尿病のない74歳以上の場合では、スタチンによる治療はアテローム硬化性脳血管疾患の減少または総死亡率に関連していなかった、2型糖尿病がある場合においては有意に関連していた。この効果は85歳以降減少し、90歳以上では見られなくなった。