先月発表されたCVD-REAL 2に引き続き、今月もダパグリフロジンに関する研究報告が比較的多く確認されました。今回はSGLT2阻害剤による多面的作用について報告された研究を3報ご紹介します。

Renal protective effect of SGLT2 inhibitor dapagliflozin alone and in combination with irbesartan in a rat model of diabetic nephropathy (4月10日)
SGLT2阻害剤とARBの併用が、単独治療に対してより有効な腎保護効果を有することを示唆する報告がBiomedicine & Pharmacotherapyオンライン版に掲載された。糖尿病性腎症のラットモデルにおいて、ダパグリフロジン2mg/kg/日またはイルベサルタン30mg/kg/日の単独群とそれらを組み合わせた併用群にわけ12週間経口投与し、腎保護効果を調べた。その結果、腎臓の組織病理学的変化の改善と共に、アルブミン尿症の有意な減少、腎機能パラメーターの改善、sRAGEレベルの上昇および炎症および酸化マーカーの改善をもたらした。ダパグリフロジンとイルベサルタンの併用は、いずれかの薬剤単独の使用よりも顕著な効果を示し、SGLT2阻害剤とARBの組み合わせは、より効果的な腎保護を提供し、糖尿病性腎症の管理のための有望な治療選択肢であると結論づけられている。

The SGLT2 Inhibitor Dapagliflozin Significantly Improves the Peripheral Microvascular Endothelial Function in Patients with Uncontrolled Type 2 Diabetes Mellitus (4月2日)
ダパグリフロジンが、腹部脂肪量の減少に伴う末梢血管内皮機能を改善し得ることを示した国内の臨床試験結果がInternal Medicineにて報告された。
SGLT2阻害剤で未治療のコントロール不良(HbA1c> 7.0%)2型糖尿病患者に対して、ダパグリフロジン(5mg/日)またはSGLT2阻害薬以外の治療薬を6ヵ月間投与し、末梢微小血管内皮機能と腹部脂肪領域の変化を調べた。その結果、HbA1cは両群で有意に減少し、群間に有意差はなかったが、ダパグリフロジン群でRH-PAT指数(LnRHI)を有意に増加、CTで評価された腹部内臓脂肪面積、皮下脂肪面積(SFA)、総脂肪面積(TFA)を有意に減少させ、血漿アディポネクチンレベルを有意に増加させた。

Canagliflozin protects against non-alcoholic steatohepatitis in type-2 diabetic rats through zinc alpha-2 glycoprotein up-regulation (4月2日)
カナグリフロジンが2型糖尿病の非アルコール性脂肪性肝炎を予防する可能性を示唆する報告がEuropean Journal of Pharmacologyオンライン版に掲載された。
インスリン分泌能を低下させたラットに高脂肪食を8週間与え、未処置群、カナグリフリジン10mg/kg投与群および20mg/kg投与群に分けて血糖およびHbA1cを評価した結果、カナグリフロジンによって有意に減少した。さらに高脂肪食により肝臓重量増加、肝臓脂質蓄積、低肝臓ZAG発現ならびに血清アラニンアミノトランスフェラーゼが増加し、NASH発生を誘発した結果に対して、カナグリフロジン群では逆の結果がみられた。