今回は糖尿病疾患情報レポートとして、日本腎臓学会と日本糖尿病学会による「かかりつけ医から専門医・専門医療機関への紹介基準」に加え、いくつかの研究発表についてご紹介します。先生との話題としてご活用ください。

High-energy breakfast promotes weight loss, helps reduce total daily insulin dose for type 2 diabetes (3月20日)
2型糖尿病と肥満のある患者は、食事パターンを「朝型」にする(朝食を高カロリーにする)と、体重とインスリン量が減少り、血糖コントロールが改善するという研究を、イスラエルのテルアビブ大学が第100回米国内分泌学会年次総会(ENDO 2018)で発表した。

「健康な食事・食環境」認証制度 (3月14日)
「健康な食事・食環境」コンソーシアム(日本糖尿病学会など7学会)は3月14日に記者発表会を開催し、バランスの良い健康な食事「Smart Meal(スマートミール)」を提供する飲食店や事業所を認証する制度について、9月より認証を行うことを発表した。

理化学研究所 – 糖尿病の膵島移植治療に画期的移植法を開発 (3月12日)
理化学研究所と福岡大学は、従来はレシピエントの肝臓内に膵島を移植していた移植法に対して、皮下脂肪組織内に移植する新規膵島移植法を開発したと発表した。新規皮下移植法は肝臓内移植法の課題を全て克服する簡便で安全な画期的移植法であり、新規皮下移植法は糖尿病の再生医療である iPS 細胞、ES 細胞から創生されたインスリン産生細胞移植にも最適な移植法であるとしています。

IRE1–XBP1 pathway regulates oxidative proinsulin folding in pancreatic β cells (3月5日)
奈良先端科学技術大学院大学研究推進機構と京都薬科大学の研究グループにより、インスリンが体内合成される際、分子の立体構造を正しく効率的に整える新たな仕組みについて、Journal of Cell Biology誌に発表された。膵島β細胞では小胞体ストレス応答伝達タンパク質であるIRE1α経路の恒常的な活性化が重要であり、これにより正常なプロインスリンの折りたたみが進み、正常に成熟したインスリンが産生されることが明らかにされた。

日本糖尿病学会 – 「かかりつけ医から専門医・専門医療機関への紹介基準」について (2月27日)
日本腎臓学会と日本糖尿病学会は、日本医師会の監修で、かかりつけ医から専門医・専門医療機関への紹介基準を作成したことを発表しました。日本糖尿病学会によると「本紹介基準により、更に両学会の専門医・専門医療機関とかかりつけ医の皆様の連携 が更に強化されることを期待しております。」としています。

Risk of new‐onset diabetes mellitus during treatment with low‐dose statins in Japan: A retrospective cohort study (2月26日)
本研究はスタチン治療を開始した日本人患者2,554例の後ろ向きコホート研究で、高力価スタチン群と低力価スタチン群にわけて糖尿病新規発症リスクを評価した結果、高力価スタチン群では低力価スタチン群と比べ有意に糖尿病新規発症リスクが高かったことが、Journal of Clinical Pharmacy and Therapeutics誌オンライン版に掲載された。