2018年2月22日より東京にて開催中の国際腎臓学会（ISN）FRONTIERS 2018において、EMPA-REG OUTCOME®試験の腎アウトカムでのアジア人サブグループ解析の結果が公表される等、SGLT2阻害薬の研究は日進月歩で進んでいます。
今回は直近１か月のSGLT2阻害薬に関する報告を下記の通りご紹介します。中には適応外の情報も含まれており、情報提供に活用できない報告がありますが、是非最新情報のチェックや日々のＭＲ活動にお役立てください。
【出典】 イーライリリープレスリリース
Dapagliflozin Aggravates Renal Injury via Promoting Gluconeogenesis in db/db Mice. (3月1日)
糖新生の増加を主な要因として、ダパグリフロジンが糖尿病性腎症を悪化させる可能性が示唆された
Dulaglutide as add-on therapy to SGLT2 inhibitors in patients with inadequately controlled type 2 diabetes (AWARD-10): a 24-week, randomised, double-blind, placebo-controlled trial. (2月27日)
SGLT2阻害薬にデュラグルチド（製品名：トルリシティ）を追加することで、臨床的に有意な血糖コントロールの改善を示した。また既に確立された安全性プロファイルと一貫した良好な忍容性を示した。
SGLT2 inhibitors and renal outcomes in type 2 diabetes with or without renal impairment: A systematic review and meta-analysis. (2月27日)
システマティックレビューおよびメタアナリシスにより、SGLT2の阻害が腎障害の有無に関わらず糖尿病患者における、腎機能の保護作用が示唆され、これらの患者における腎機能低下および腎臓疾患による死亡を抑制することが示唆された。
Efficacy and safety of canagliflozin as add-on therapy to a glucagon-like peptide-1 receptor agonist in Japanese patients with type 2 diabetes mellitus: a 52-week, open-label, phase IV study. (2月23日)
日本の2型糖尿病患者における長期のカナグリフロジンとGLP-1受容体作動薬の併用について、効果的かつ良好な忍容性が示唆された。
Effects of Canagliflozin Versus Glimepiride on Adipokines and Inflammatory Biomarkers in Type 2 Diabetes. (2月16日)
カナグリフロジンは脂肪組織機能を改善し、インスリン感受性や心血管リスクに良い影響を与えるIL-6、血清レプチン、アディポネクチンの変化を誘発することを示唆した。
Sodium-glucose co-transporter 2 (SGLT2) inhibitors as add-on therapy to insulin for type 1 diabetes mellitus: Systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. (2月16日)
システマティックレビューおよびメタアナリシスによって、SGLT2阻害剤によるHbA1c、空腹時血糖、体重、収縮期血圧の有意な減少が認められた。さらに追加インスリン、基礎インスリンの減量を達成した。他にもプラセボに対する平均血糖の変動の減少が持続血糖モニタリングで見られたが、ケトアシドーシスや尿路感染症の増加も認められた。1型糖尿病に対して、SGLT2阻害剤追加が有用である可能性が示されるが、注意して使用を検討することとしている。
Efficacy and safety of combination therapy with SGLT2 and DPP4 inhibitors in the treatment of type 2 diabetes: A systematic review and meta-analysis. (2月16日)
システマティックレビューおよびメタアナリシスによると、SGLT2阻害薬とDPP4阻害薬の併用は有効かつ安全であり、特に顕著な追加の血糖降下作用はSGLT2阻害薬に対して、DPP4阻害薬を併用または追加した場合に見られ、その逆は認められなかった。
Antidiabetic effects of SGLT2 inhibitor ipragliflozin in type 2 diabetic mice fed diets containing different carbohydrate contents. (2月9日)
イプラグリフロジンの糖尿病に対する効果は食事中の炭水化物含量に大きな影響を受けなかったことから、炭水化物摂取量に関わらず2型糖尿病患者に対して同様の有効性を示す可能性が示唆された。
Empagliflozin Increases Short-Term Urinary Volume Output in Artificially Induced Syndrome of Inappropriate Antidiuresis. (2月9日)
本研究の抗利尿ホルモン不適合分泌症候群（SIADH）のモデルにおいて、エンパグリフロジンは浸透圧利尿による尿中排泄を増加させた。 治療期間が短いため、血清ナトリウム濃度は変化しなかったが、SIADHの新しい治療法としてエンパグリフロジンをさらに検討する臨床研究が求められる。
Long-term efficacy and safety of ertugliflozin monotherapy in patients with inadequately controlled T2DM despite diet and exercise: VERTIS MONO extension study. (2月8日)
エルツグリフロジンで52週以上の治療した結果、血糖コントロールの改善、体重および収縮期血圧の減少、生殖器真菌感染症の増加が示された。※エルツグリフロジンは海外でメルクとファイザーが共同販売しているSGLT2阻害薬（製品名：ステグラトロ）である。
Cost-Effectiveness Analysis of Canagliflozin 300 mg Versus Dapagliflozin 10 mg Added to Metformin in Patients with Type 2 Diabetes in the United States. (2月7日)
メトホルミンを使用してもコントロール不十分な2型糖尿病患者において、カナグリフロジン300mgはダパグリフロジン10mgに比べて、U.S.のヘルスケアシステムの観点からより低いコストでより良いアウトカムを示す可能性がある。
Canagliflozin, an SGLT2 inhibitor, attenuates the development of hepatocellular carcinoma in a mouse model of human NASH. (2月6日)
カナグリフロジンが脂肪細胞のエネルギー蓄積能を増加させ、肝臓への脂肪蓄積を減少させることで、NASHモデルマウスの脂肪肝、NASHおよびNASH肝癌の発症を遅延・抑制することを明らかにしました。カナグリフロジンがNASHおよびNASH肝癌の予防に有用である可能性を示した。
