SGLT2阻害剤は急性腎障害のリスクを上昇させない可能性が報告されました
Diabetes Careより、2型糖尿病患者に対してSGLT2阻害剤を服用しても急性腎障害のリスク上昇がみられない事が報告されました。報告は2型糖尿病患者を対象とした米の2つの大規模なコホート(Mount Sinai CKD コホートとGeisinger Health Systemコホート)からの横断データを使用し、日常診療によるSGLT2阻害剤の急性腎障害のリスクを評価しています。

Mount Sinai CKDコホートでは、中央値14カ月の追跡結果により、急性腎障害の発生率はSGLT2阻害剤使用群(377例)では3.8%に対し、未使用患者群(377例)では9.7%であり、ハザード比は調整後の解析でも変わらないことが示されています。一方のeisinger Health Systemコホートでは、SGLT2阻害剤使用群(1207例)で2.2%、未使用患者群(1207例)では4.6%であり、調整後の解析においてのハザード比は、僅かにSGLT2阻害剤使用群で急性腎障害の発生率は減弱したという結果でした。

以上の結果を踏まえ、著者のNadkarni氏らは「今回の2つの大規模患者コホートの解析からは、SGLT2阻害薬の使用により2型糖尿病患者の急性腎障害のリスクは上昇しない可能性が示唆された」と結論づけています。

No Increase in Acute Kidney Injury Risk for SGLT2 Users

本報告は、SGLT2阻害剤により急性腎障害のリスクを上昇させないという前向きな報告である一方、因果関係としては現時点では確立しておりません。SGLT2阻害剤を服用中の患者さんは、腎機能の影響を定期的に検査を行った上で投与を行う事が求められております。適切な患者さんにご処方頂くよう引き続き情報提供を行ってください。