インスリン治療中の1型糖尿病患者を対象にSGLT1とSGLT2を両方を阻害する経口剤のsotagliflozinの上乗せで血糖コントロールが改善するとの研究結果が、第53回欧州糖尿病学会(EASD 2017)で発表され、論文が「New England Journal of Medicine」に掲載されております。本試験は、インスリン治療中の1型糖尿病患者1,402人を対象にsotagliflozin群とプラセボ群の比較で、24週時点のHbA1c値が7.0%未満を達成率を検討しております。

その結果、sotagliflozin群はプラセボ群に比べて有意に7.0%未満のHbA1c値の達成率が高い事が示されました。またベースライン値と比べてHbA1c値は-0.46%、体重が-2.98kg、収縮期血圧値が-3.5mmHg、インスリンの平均1日投与量が-2.8単位で、プラセボ群と比べてsotagliflozin投与群で有意差が示されております。

有害事象に関しては、重症低血糖の発生率には両群間で有意差はなかったが糖尿病性ケトアシドーシスの発生率はプラセボ群が0.6%に対してsotagliflozin群が3.0%と高いとの結果でありました。

これらの結果を踏まえて、著者であるGarg氏らは「重症低血糖や糖尿病性ケトアシドーシスを起こさずにHbA1c値7.0%未満を達成した患者の割合は、sotagliflozin投与群の方がプラセボ群よりも高く、一方でsotagliflozin投与群では糖尿病性ケトアシドーシスの発生頻度が高いことも分かった」と結論づけられております。

Sotagliflozin, a Dual SGLT1 and SGLT2 Inhibitor, as Adjunct Therapy to Insulin in Type 1 Diabetes

ソタグリフロジンは1型糖尿病と2型糖尿病の両方の適応取得を目指しており、現在米レキシコン社でSGLT1/SGLT2のデュアル阻害剤として開発が進められております。1型糖尿病での適応が取得できればインスリン以外の内服剤で治療が可能となり、治療の新たな選択肢が広がります。SGLT2阻害剤としてはダパグリフロジンやエンパグリフロジンにおいても臨床試験が行われており、今後の研究結果が期待されます。